10万年後の世界
「やぁ、よく来たなぁ人間よ」
孤高に聳え立つピラミッドは遠路はるばる来た人間を歓迎した。
「はい。あなたにお尋ねしたいことがあってやって来ました」
「ほう。それは何だね」
ピラミッドは興味深そうに聞き返した。
「研究者があなたのことをずっと研究しているのですが、つまるところあなたが何のために、そして、どのようにして作られたのか分からないのです」
「ほう」とピラミッドが呟く。
青年は続けた。
「ですから、こうやってあなたに直接尋ねに来たのです」
「ははっ」
ピラミッドは笑いながら言った。
「お前たちにはAIというものかあるらしいではないか。それに調べさせたり考えさせたりすれば分かるのではないか?」
「いえ、それがいくつものAIに考えさせたのですが、色々な説が飛び交うだけでなかなか答えが導き出せないのです」
「ほう。そうなのか。そんなにわたしが神秘的かね?」
「はい。教えてはいただけませんか?」
「教えるのは簡単だが、教えては面白くないだろう」
「それに、、」
ピラミッドは怪訝な表情を浮かべて続けた。
「お前たち人間は「核」というものを使っているらいしが、それが無害化するまで10万年掛かるそうじゃないか。それで、その廃棄物を地下数百メートルの貯蔵施設に埋蔵して10万年管理するらしいが、たかだか数千年前に作られた私が何の目的でどうやって作られたか分からないというのに、10万年なんてほんとに管理出来るのかい?」
人間、いや、人類はこのピラミッドの疑問に、果たして返す言葉が見つかるだろうか。