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それが友達ってもんでしょ!


学校は、一気に学園祭ムードに変わった。

どこのクラスも学園祭の準備に力を入れている。

そしてもう一つ変わったことといえば…


『あ、いたいた。あいつだよ。立花先輩と一緒にいた女子。』

『え、ただの真面目ちゃんじゃん。何であんなやつが一緒にいたの。』


はぁ、また来た。直接言ってこないのがまたムカつく。

それにしてもまさか放課後のセリフ練習の後、一緒に帰っていたところを誰かに写真を撮られていたとは…油断していた。そしていくらダブルキングの1人とは言っても拡散のスピードが速すぎる。いや、私がダブルキングに対して舐めているのかもしれない。


「草華、大丈夫?」

「あ、喜奈。うん!大丈夫!どした、何かあった?」

「いや、休憩がてらちょっと歩いて話さない?」

「うん、そうだね。休憩しよっか。」


歩いて、何話すんだろう。まぁ答えは1つしかないか。

あぁ、まただ。また友達という関係が壊れる。今度こそ上手くやろうって思って、わざと高校は中学までの同級生がいない遠い学校を選んだのに。意味がなかった。また壊れるんだ。また自分が壊すんだ…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あのさ、凄い聞きにくい質問していい?」

「うん、いいよ。」

「立花先輩との後ろ写真、あれって本当?」

「うん、本当のことだよ。部活がない日の放課後会ってた。伝えてなくてごめ…」

「何だ〜!本当だったのか!草華がいじめのターゲットとかにされてて、偽造写真でも作られたんかと思ったじゃーん!」


え、え…偽造写真?待って、気にしてるとこそこ?!


「そっかそっか!ついに草華…うんうんそっかぁ!

で!いつから!いつから付き合ってんのよぉ?」(ニヤニヤ)

「つ、付き合ってる!?そんなわけない、ない!

ただ偶然出会ってそれから部活無い日に喋ったりとかしてるだけだよ!」

「ふ〜ん、偶然ね〜。」(ニヤニヤ)

「本当だもん…。な、何で…怒らないの?私のこと。立花先輩と一緒にいたんだよ?」

「怒る?何で私が草華に怒るの?確かに私はダブルキングのファンだけど、別に許せない!ってこと1つもないしそれよりも草華は大切な私の友達よ?友達の話を聞いて、信じる。それが友達ってもんでしょ!」

「で、でももしかしたら、私が嘘をついてるかもしれないじゃん。」

「そんなん絶対ない。草華だよ?あの嘘もちゃんとつけない、すぐに顔にでちゃうあの真面目な草華だもん。嘘なんてつけっこないもん!!

んで、何があったのかちゃんと教えて、私もちゃんと聞くから。

あ、、でもまぁもしそれが立花先輩じゃなくて蒼乃先輩だったらちょっと気持ちは揺らいだけど(笑)」


あ、喜奈は蒼乃先輩派だったのか。てっきり立花先輩派だと…って今はそれに対して考えてる場合じゃ無い。どうしよう、予想外すぎて頭が混乱する…。


「それでゆっくりでいいから、何があったの?」

「うん…えっとね…」


喜奈は、私のことを信じてくれた。ここで私も信じてセリフ練習のことも、声優を目指していることも伝えてよいのだろうか…。またこれで関係が壊れたら…。


「あ、ごめん…。急に踏み込みすぎたよね。…ごめん。」


あぁ、この目知ってる期待から諦めへと変わる目だ。

また、またあの時みたいな寂しくて辛い日々を過ごさなきゃいけないのかな……。

いや


「違う。」(ボソッ)

「え?」


違う、私が諦めてどうするんだ。ここまで勇気を出して踏み込んでくれた喜奈の想いを私が壊してどうする。


「違うよ、喜奈。ごめん、私が悪かった。怖かったの…自分の気持ちも、夢に向かって行動するのも…周りの目も。私さ…弱いから…弱いからさ…ってあれ何で視界がボヤけるんだろう…ううっ…。」


私はそれから喜奈に色んなことを話した。いつもオフの日に使われていない教室でセリフ練習をしていること、立花先輩とのまさかの出会いをしたこと、そして3年前のこと、自分がアニメが好きだということを言えなかったこと、そして…声優を目指しているということ。


喜奈は驚くことに静かに頷きながら最後まで話を聞いてくれた。そして何故か一緒に泣いていた。でもどこか嬉しかった。思いを共有できたこと?話を理解してもらえたこと?一緒に泣いていること?理由は分からない。でもどこか嬉しさを感じた。


((俺は別に仲の良さって数字じゃないと思うんよね。いくつになっても本当に仲のいい人には出会えると思ってる。))


確かに喜奈と出会ってまだ1年と9ヵ月ほどしか経ってないけど本当の友達という人に出会えたかもしれないと思えた。立花先輩、先輩の言った通りでした…。


「そっかぁ…声優さんになりたいのかぁ。」

「う、うん。でも変だよね、見た目にも合ってないし、しかもほら!狭き門だし将来的にも…」

「草華本人が最初から弱気でどーするのよ!!自信を持ちなさい!自分のやりたいことなんでしょ?イメージとか将来とかどーでもいいじゃない!まだ高校生だよ?うちら!人生一度きり!挑戦してかないと〜。」

「人生…一度きり…か。」

「そ!やりたいと思えたならそれに挑戦して、それでもし失敗したら、こういう時もある!って次に挑めばいいのよ!さ、教室戻って作業再会しよ!」

「そうだね…そう…だよね!あのさ…喜奈!」

「お、おぉどうしたの急に(笑)」

「と、友達になってくれて…話聞いてくれて…有難う。」

「何言ってるの?当たり前じゃん!友達なんだから!お互い支え合って応援し合ってこーよってね!ニシシッ!」


あぁ素敵な友達に、私も出会えてたんだなぁ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ、帰ってきた…あの薄雪さん。3年の先輩が呼んでるよ…。」

「あ、ごめんなさい、有難うございます!」


また、女子の先輩からの呼び出しか…はぁ…。


【ツンツン】


ん??


「草華!自信なさげの顔じゃダメ!いつも通り冷静に対処して来い!」(ボソッ)


冷静に…しかも対処って…(笑)


「おう!行ってくる!」(ボソッ)

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