君の声を聞きにきた
立花先輩にバレてから、1週間が経った。
あれからあの教室には行ってないし、セリフの練習もしていない。部活があったというのもあるけど…。
今日は、オフの日だ。正直セリフの練習を…したい。
ん……よし…今日は行こう!
「草華、じゃーねー!」
「ばいばい!喜奈!」
【ガラガラ〜】
良かった、誰もいない。廊下にも人気なし!
ベランダは…よし、いない!
前回はここまでやったから…今日はここからかな!
「…あぁ、なんて素敵な方なのでしょう。そんな貴方を愛しています。ディルティーユ様、大好きです。」
大好き…か…。
この人は好きを言葉にして伝えられる、私と違って強い人なんだろうな…。
ってダメダメ集中しなきゃ。切り替えてつぎつぎ!
「東方の国を監視してる隊からの通達です。何やら動きがあったもよう。すぐに…」
【ガラガラ〜】
「あ、やっぱりいた!やほ、薄雪さん!」
げ…。まさか途中出場とは予想してなかった…。
「こんにちは、た、立花先輩。すみません、すぐ出ます。」
「え、ちょっ、待ってよ!約束したじゃん!また聞かせてって!それにあれからずっと来てなかったし。あ、約束忘れたんかなぁ、破ったんかなぁって思った。」
「あ、いや確かにそのようなことは…ありましたが…
そのつい、承諾してしまったというか、何というか。それに、次いつ来るとか伝えてませんし、約束だってしてません。」
「あっ!確かに。約束して…」
どうしよう。怖くて下しか向けない。
どんな目で私を見てる?
バカにしてる?
真面目そうなのにとか思ってる?
見た目、イメージとやっぱり違う?
はやくここから逃げたい…。
「…じゃあ君の声を聞きにきた。そう伝えれば薄、草華ちゃんはまた聞かせてくれる?俺、まじでいい声してると思ったんよね!(照笑)」
「え…えっと…。あ、有難うございます…?」
「ふっ、何で疑問形なの(笑)それで聞かせてほしいんだけど!」
「あ、えっと…。さっきまで練習していて…その…
今日はもう終わりにしようかと…。すみません。」
「えー!来るの遅かったか〜。じゃあ今度聞かせて!次いつ来るん?また来週?」
「あ、はい…。来週また来ます。なので、えっと失礼します!」
「あ!まだ、待って!今日予定ないんしょ?ちょっとさ、話し相手になってよ!ね?お願い!」
く…、早くここから逃げたいのに…。この顔されちゃ断れない。確かにイケメンとかキングとか言われるだけある。
「わ、分かりました。でも5時半には出ます。」
「ご、5時半って、小学生かっ!(笑)
あと1時間かぁ。よし、ここ座って!じゃあ質問!いつも週一でやってるの?」
し、質問…!?話し相手ってそういう感じかい!
「あ、はい。部活のオフの日なのでこの曜日に。でも放課後何かあればやらずに帰ります。」
「そっかぁ。じゃー、そん時は家でやってる感じ?」
「いや、家ではやったことないです。」
「あ、そうなんか。てゆか何でそんなに隠したいの?」
け、結構踏み込んでくるな…。質問も多い…。
「そ、それは…」