バレたくなかった
「も〜急にびっくりしたじゃん〜!」
「あはは、ごめん、ごめん。」
「ね、待って!いた、立花先輩と蒼乃先輩!流石ダブルキング。ビジュが…く、苦しい〜。こりゃ集会どころじゃないよねって。」(ボソっ)
立花先輩と蒼乃先輩。一つ上の2人の先輩は学内で有名なイケメンらしく、幼馴染である2人はいつも一緒にいることからダブルキングと呼ばれている。
「流石に集会は参加しないと先生達悲しむよ(笑)」
「でた!真面目!も〜こういうのはいいの〜。堪能できる時に堪能しなきゃ〜。でもそういう真面目な草華も好きー!」
【ぎゅ〜】
「ちょっ(笑)何の話よ。嬉しいけど(笑)絶対今あのダブルキング見れてテンション高くなってるでしょ。」
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「はぁ〜やっと終わったー。何時だ…あ、やばっ、部活始まる!草華はオフか!じゃあね、草華!」
「うん、オフ〜!頑張ってね!ばいばーい」
喜奈は、ダンス部に入っていて、もうすぐ大会らしく忙しい。私も部活には入っているが今日はオフだ。
それに今日は放課後から何も用事はない。
よし、じゃあ今日は練習しますか!
【ガラガラ〜】
良かった、誰もいない。廊下にも人気なし!
よし…開始!
「ねぇ、好きだよ。ずっと前から…」
「御意、主の意のままに…」
私はオフで放課後に予定もない日は、こうして使われていない教室を使って1人でセリフの練習をしている。
無断で教室を使っていることは内緒だが…。
「ふ〜ん、いい声だね。いつもここでやってるの?」
え、誰…。人がいないことを確認したはずなのに…。
衝撃で体が凍ったように固まってしまった。
「あれ、返事こないやん。ね、聞いてる?おーい。」
窓から声が…しまった。ベランダを確認し忘れていた…!やばい、バレた…。振り向けない。振り向くのが怖い…。
「聞いてる?君だよ!さっきアニメで言いそうなセリフめっちゃ言ってたじゃん。」
終わった…。とにかく無視し続けるのは良くない。
重たい体を声がするベランダの方へと向けた。
「お、やっと振り向いてくれた!ね、君名前は?
いい声してんね。」
「え、えっと…。」
「あ、ごめんごめん。先に俺の名前か。俺は高3の
立花 菖。君は?」
「う、薄雪 草華です…。高2です。」
「お、一個下か。てかさ、さっきの…」
ん、たち…立花…ってあの立花先輩!?ダブルキングの!?え、やばい。もう体…いや神経という神経が皆
危険信号を出しているような感覚がした。
「ね、聞いてる?」
「あ、ごめんなさい。え、えっと…すみません、勝手に教室使ってしまって、誰もいないと思って。そ、それじゃあ失礼します。あ、あと誰にも言わないで下さい。」
「え?」
「あ、えっと…私がここでセリフの練習していたこと誰にも言わないで下さい。何でもするので…本当に…。
お願いします。そ、それじゃあ失礼します。」
「あ、ちょっと!待って!わかった。誰にも言わない!だからさ、また聞かせて、謎のそのセリフ(笑)
何でもしてくれるんっしょ。また聞きたい!」
「…わ、分かりました。し、失礼します!」
【ガラガラッ!!】
終わった。最悪だ。一番知られたくないことを学校一の有名人にバレた。
冷や汗で脱水症状を起こしそうな気分だった…。