私の言えないこと
薄雪 草華、17歳。別に陰キャではないけど、騒ぐ系女子でもなく、決まり事や校則をしっかりと守ることから真面目イメージを小さい頃からもたれやすかった。
でも陽キャにも、陰キャにもなりきれてない状態だからこそ、色んな人と交流したり、仲良くなれたりできるから、この中間な立ち位置が私的には好きだ。
だから楽しく充実した高校生活を過ごしている。
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「はぁ。今週の分も最高すぎた。まじで声優さん良い声〜。明日のラジオも楽しみだなぁ。やばっもう12時過ぎてる寝ないと明日も学校だ。」
もう伝えておこう。私はアニメが好きだ。好きな声優さんがいるくらい好きだ。幼稚園の頃にアニメと出会ってからずっと大好きなのである。
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「それじゃ、こんくらいで帰りのホームルームは終わるが今日は集会あるから移動するぞ。」
「草華、行こ!集会ってことは全学年かな。てことは先輩いるなぁ。やばい前髪チェック、チェック。」
「全学年だと思う(笑)流石、喜奈。前髪命!だもんね」
喜奈は、高1からの友達。明るい性格でとても面白く、一緒にいて楽しい。
本人は校則をやぶるギリギリのラインを狙って学校でおしゃれをしてるつもりらしいが、私からみるとラインを少し超えているような気がする…(笑)
しかし確かにおしゃれで、スタイルがいいのは納得するし、何より自分を理解した上での自分の魅せ方というのを喜奈は知っているところが凄い。
「そうよ!なんなら、命超えて国宝級よ!
てか聞いて〜好きなアイドルグループいるじゃん?昨日、インライしてて、もうビジュが…」
『昨日のラブボ観た?もう展開が最高すぎたよね。
まさかあそこであの告白とはね。』
『それな!本当に如月くんかっこいい。でもやっぱり私は長月くん派かなぁ。』
あ、アニメの話だ。
私も昨日観たよ、良かったよね、声も最高だったよね。
「…草華、大丈夫?おーい、ボーッとしてる。」
「え、嘘、ごめん。大丈夫、大丈夫(笑)」
私はアニメが好きだ。本当に好きだ。
だけど…
それを誰かに伝えたりはしない。共有はしない。
いや、伝えられないが一番あてはまる表現なのかもしれない。
何故なら私のイメージとは異なるから。
あの頃と同じ体験をしたくないから。