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第1話 「痛車で事故った」

*当作品には飲酒運転の描写がございますが、これは物語上しかたなくやっていることであり、飲酒運転を推奨するものではありません。

爆音で音楽が鳴り響く車内の中で、俺たちは愉快に酒を飲んでいた。人はこれを飲酒運転だと非難するだろうが、ここは天下の北海道国である。北海道国の農家の子供なんざ、小さい頃からトラクターを乗り回し、大人になってから何故かその免許を取らされるのがセオリーだ。

そんな北海道国で日本国憲法が通じると思うなよ?


まあ、そんな俺は独身24歳重度のアニメオタク。名前は岩谷いわたに佐武郎さぶろうっていう。職業は実家の農家を継いでいるって感じで金はそこそこある。それもあって、この車は痛車である。


いや、正確にはもっと深い話があるのだが……


そう、あれは雨の日だった。

親友の重傷オタク、つまり今俺の隣にいる金髪野郎のもり慎吾しんごってやつに車の清掃を頼んだら知らぬ間に俺の愛車が痛車に改造されていた。


あいつ曰く、今流行っているアニメ「勇者だけど恋人探しの旅に出ます 〜愛されるほど強くなるスキルを手に入れた俺は、ハーレムを作って世界最強になる〜」のデコをやったらしい。そうやってあいつがニコニコドヤドヤしたもんだから、その日はいくら仏みたいに優しい俺でもあいつが真っ赤なトマトになるまで殴ってやった。


悪い意味で忘れられない一生もんの記憶だよちくしょう。


以降、色々あってご近所さんからの目が痛い。


そんな俺の将来の夢は安らかな死を遂げること。できればベッドですやぁして死にたい。24歳で将来設計に死に方が入ってるのどうかと俺も思ってるが、正直農家の人生ってあんまり変わり映えないから仕方ないんだっつーの。


「おい、佐武郎。ストゼロが全部開いたぞ、追加が必要だ」


「は? 三本あっただろ、もう二本飲んだのか?」


「当たり前だ、こんなものでは足りん」


慎吾は空になったストゼロの缶を摘んでプラプラさせた。こいつ、、、俺がこんな暗いでっかいどうの夜道を運転してるという時によ! 


少しピキッときて、サイドブレーキ近くのホルダーにあったストゼロをグビッと飲む俺。少し酒が回ってきて、気分が高揚してきた。


「おい、コンビニはどこだ、酒とつまみは我々の燃料であるぞ」


「馬鹿慎吾、ここから近場のコンビニまで30kmだ!」


ここで車で流れていた曲が切り替わり、別のアニソンが流れてきた。と、ここでノリノリになった慎吾がキーを外しまくったとんでもない歌を披露する。耳が痛い耳が痛い。


ふと時刻を確認すると、深夜の2時37分だった。随分と時間が経ってしまっていたらしい。さっきまで二人で家から70km先にあるカラオケ店で歌いまくっていたのにな。


「お、そろそろ田中の牧場じゃないか?」


そんなことを言うと、慎吾は俺の方に体を寄せて、耳元で大声を出しやがった。


「地球温暖化の元凶め、ミルクと肉だけ置いて消え去れクソ牛が!」


「やめろ、慎吾。それ以上言うとご近所さんからの視線で軽く死ねる」


そう、挙げればキリがないのだが、嫌がらせのようなことが不特定多数からされているのだ。例えばクリスマスの日に玄関先にヒヨコが10匹箱に入れられていたものが置いてあったりとか。確か箱には当選おめでとうございます!と書いてあった。一番困ったやつが、馬糞を100kg送りつけられたことだな。幸いにもうちは農家だったから馬糞をクソほどめんどくさい工程を経て肥料にしたのちに畑にまいた。たしかに肥料にはなったのだが、その作業工程がめんどすぎたのだ。

もう二度と勿体無いと言う言葉には惑わされないと俺は心に誓ったね。


「って痛っ!」


そんなことを考えていたら慎吾にの暴れ腕に引っ叩かれた。あーもう、こいつはさぁ!

ブンブン蜂の如く腕を振り回す暴走機関車を抑制しながら、ハンドルを切る。なんで俺はこんな奴の面倒みながら運転してんだ?


「おいちょっと待て、佐武郎、前を見ろ前を!」


急にほんのり赤みががっていた慎吾の顔が真っ青になった。

そう、そしてその瞬間である。

俺が車の正面を見ると、そこには、、、田中んちの肥溜めがあった!

スピードを落とさなければ!

そう思い、ブレーキを踏んだ!


「おいちょっと待て、これアクセルじゃねえええええかあああああああああ!」


「うわああああああ、田中ぁあああああああああああ! なんでこんな所に肥溜め作ったんだよおおおおおおおおおおおおお!」


そうして、車はまるでオリンピックの体操選手の如き大回転をみせ、肥溜めにドボン!と綺麗なまでの垂直落下をした。


直後、車は酷い悪臭と共に大爆発!


俺たちの人生も大爆発!


THE ENDってね!


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