第(誰も数えてなかった)回、神級連盟会議にて
近頃自分の書くものが流行アンチばかりになっていてつまらなくなったので、自傷的な勢いとノリで書いた奴です。
途中からめんどくさくなって台詞オンリーになってます。
作品批判やジャンル批判になっている部分がありますが、おそらく内心から出た感想であって、それも所詮は一個人のものです。
なお神の意図についても、当然ですが創作です。
感想欄は開いてません。不愉快になっても責任取れません。それでは。
ここは神たちの円卓会議だ。
席はものすごく沢山ある。
ぐるーりと回る円形の机は、人間の目で全てを見渡すには視力が5000.0くらい必要かもしれないし、もっと必要かもしれない。しかし、神なら問題はない。
出席者はまあまあまばらで、全体的には6~7割程度の席が埋まっているか。
神の姿形も千差万別だ。中にはこいつ悪魔か死神か、そうでなければモンスターの類じゃないかと思えるものも、と言うか多数いる。
まあ別に不思議なことではない。神に条件などなく、正しさや清らかさはその善性を示すものではない。
例えば積み木を組み立ててから崩すような神であったとしても、あるいは知的生命体を嫌い生まれた傍から殲滅するような神であったとしても。
それが、その世界における全知全能の神には違いない。
――で、だ。
「最近、怨嗟が増えておる」
一番偉い(沢山いるけど)神が、会議が始まって早々にそう言った。
「最高神よ、それは単に世界人口の増加によるものでは?」
最高神からちょうど対面にいる神がそう言った。下っ端の神だ。
下っ端が最高神のお言葉に反発するなんて!……ってことにはならない。
正確には以前はあったのだが、それで凄い事故ったので発言権を平等にしたという経緯がある。
それはそれとして、世界人口の増加である。
人が増えれば増えた分だけ、トラブルやら何やらの総数も増えるので、そういう状態なのではないかという話だ。
しかし最高神はその意見を肯定しつつも否定した。
「うむ。本題は総数の増加ではなく、割合の増加である。
……ほれ、これじゃ」
最高神は〇〇ディー〇〇を真ん中に出した。
このシステムはどの席からでも正面に見える優れモノだ。かみのちからってすげー。
出された折れ線グラフによれば、確かに割合が微増している。
それまではほぼ横ばいであった折れ線が、とある時期を境に上向いているのだ。
確かに増えているように見える。
円卓からは「ふむ」「ほう」みたいな声が聞こえる。
だが疑いの声も上がる。
「最高神、失礼ながらそのデータは本物か?
少々単調過ぎるように感じる」
数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う。
人間の格言だが、言葉や数字がある以上は神にも通じる話だ。
嘘をつかない神でもない限り、神とて嘘はつく。
下っ端の発言権の例に漏れず、正確な情報を得られなければトラブルは避けられない。
「うむ。このデータは各々の世界から上がっている報告をまとめたもの。
詳細はこれだ」
最高神はサッと別のデータを出す。
一次データ、および情報源は大事だ。それを使ってまとめたという情報はデータの信頼性を高める。
事実かどうかは重要ではない。と言うか、事実かどうかを確認などできない。
それが信頼できる情報なのかどうかが重要だ。
「なるほど。失礼をした。最高神よ」
「うむ。これによれば……ある時期を境に、それぞれの世界で怨嗟が微増しておる。
あまりにも少ない増加率ゆえに、一時的なものと感じた神も多いだろうが……」
詳細なデータを検分していた神たちは、次第に驚きを隠せなくなっていった。
なぜなら、”ほとんどの世界で同時に”微増していたからだ。
「世界をまたいでこのような影響を与えられる存在……?」
神たちには心当たりがあった。
人間の世界を下に見る神たちがいるように、神たちにも更に上位の存在が存在している、はずだ。
もしかしたら、そのような存在がこの神界に影響を……
「いや。未確認の存在の影響を議論するのは、原因を総浚いしてからであろう」
円卓がざわめき始めるのを制するように、別の最高神が言った。
だが、そこに待ったがかかる。
「原因?
このように大規模に、それも世界をまたいで何らかの影響を与えられる存在が、上位存在以外に考えられるとでも?」
とある中位神だ。
神と言っても千差万別。その性格も当然ながらだ。
上位存在に関しても、根っから信じている神から、一切信じていない神まで様々だ。
当然、最高神を嫌う神も存在しており、この中位神がそのうちの一柱だった。
「上位存在でなければ何なのかという話なのだ。
最初から上位存在ありきで結論を出して、ああ仕方ないで済ませるつもりかね」
そう言うのは別の下っ端神だ。
この下っ端神は上位存在を信じるタイプだが、同時にその存在を認識しようともしている。
言わば研究者タイプだ。思考停止は最も許しがたい行為ゆえに、中位神の考え方に口を出したのだろう。
「だがそれ以外に考えられぬだろうが」
下っ端は黙っていろと言わんばかりにふんぞり返る中位神。
だが下っ端神は意にも介さず言い返す。
「原因を隠し、上位存在の意のままにする。
君はその拡声器というわけかね?」
暗にお前が上位存在に操られていないか?と下っ端神は言った。
実質的な人格否定ではあったが……
「…………どういう意味だ、それは」
「ん?
……いや、撤回しよう。忘れてくれ」
「なんだと?…………何を企んでいる」
伝わらなかったので下っ端神は対話を諦めたようだ。
あちこちから含み笑いが聞こえてくる。
「ッ、なんだ!!何がおかしい!!」
「中位神よ。静粛に。
原因は手短にそれぞれの心当たりを当たる。何も無ければ更に精査する。異論は認めん」
「くだらん!!時間の無駄だ!!」
「君の意見は上位存在の影響で相違ないな?
もう黙っていてくれてよい」
「きさまッ!!」
意見を述べた後でまだ騒ぐ必要があるのか、と。
それさえも伝わらないような神は、意外にもごろごろ転がっている。
所詮は神だ。
信仰を糧にする者もいれば、魂を糧にする者もいるが、何の糧もいらない神もいる。
特に他者を食い散らかしたりする類の神は、他者がどうなろうと、世界がどうなろうと、ましてや他の神や世界のことなど底無しにどうでもよいと考えている。
下手をしなくとも、人間よりも人の話を聞かない個体が多いのではなかろうか。
騒がしいので、最高神やほとんどの神はそこの中位神の音声を切った。
これで、中位神が不可解なダンスを踊るのを横目に、会議を進められる。
「さて、怨嗟のほうであるが……
そこの下級神が、原因を探るのに有用な情報を掴んだそうだ」
「えっ、いつですか?」
「中位神が騒いでる間に調べました。
なに、私は死神の分類ですので、怨嗟の記録を覗くだけならここからでもできますゆえ」
指名された下級神はデータを出す。
怨嗟の内容がずらりと並ぶ。
どれもこれも似たようなものばかりだ。
様々な理不尽への怒りや怨恨。神への冒涜と言えるようなものもあれば、妬み嫉みも数多い。
それ自体はいつも通りの光景だが……
「実は、怨嗟の増加と同時期に急増しているタイプの怨嗟があるのです」
そう言って、下級神は別のデータを提示した。
そこには……
『せっかく転生したのにどうしてか上手く行かなかった』
『物語世界に入ったのに原作のようにいかない』
『転生特典が何も無いせいで死んだ』
『転移した先で殺人者扱いされた』
『前の世界の知識を持っていることが逆効果になった』
『チートのはずなのにぽっと出の奴に勝てなかった』
……並べられたのは、流行りの”転生”、”転移”に関わる、不平不満の声。
これを見た瞬間、割合少数の神が席を辞した。(少数と言っても単位は凄いけど)
心当たりがあり、自分が原因だと自覚している神は逃げ出したわけだ。
だが、特に誰も咎めたり止めたりはしない。
「怨嗟を糧にする神は致し方あるまいが、そういった神ならばこちらに怨嗟は届くまい。
逃げた者たちも、まずいことと認識した以上は同じような処置を採るだろう。
問題は、気付いておらぬ神だ」
別の下級神が場を仕切る。
この下級神は、とある最高神の下に就く神だ。その最高神は……
「???」
あっ察し。
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「事例その1である。
『魔法チート転生したのに、わけわからない技術が発展しすぎてて魔法の出番が無かった』。
『魅力チートを貰ったにもかかわらず、付き合ってしばらくすると「なんか違う」って言われ去られます』。
『トラック衝突からの吸収系スライム転生したけど、周りが何かとハードで死んだ』」
「どんまい」
「どんまい」
「スライム転生は多数来てますな。
周りに何もなくて餓死、日干し、蒸発。
索敵されて食われる、殺される。吸収能力が負けるほどの毒物や劇物。
スキルの使い方がわからない。そもそも閉じ込められている……どうしてこの状況に転生させたのじゃろう?」
「シンプルですが、転生先はちゃんと転生者に合わせて考えなさい。
吸収系は初期が特に大事です。ちゃんと勝てる相手と、後の強敵に勝てる何かを同時に用意すること。
それと、ヒロインを要する男性の転生者には、一途系ヒロインを近場に用意しなさい。
初期に出会えないとヒロイン解釈違いを起こすことも留意しなさい」
「待ってください!
それって、その世界にいる人たちのことを馬鹿にしていませんか?
何もかも転生転移者の思い通りになるのは、おかしくないですか?」
「転生なり転移なりをさせなければいいでしょう。説教部屋へ」
「そんなのおかしいです!私は何も間違ったことは言って、ちょっ、なんで!?なんでですか!!」
「事例その2である。
『乙女ゲームの世界に入ったのに、既に悪役が実質主人公になっていて何もわからず処刑されました』。
『戦記ものの世界に行ったけど、自分を助けてくれるはずの味方ではなく悪役が現れて殺されました』。
『ゲームの世界に転移したけど、悪役がしくじってて既に世界滅亡エンドの風景でした』」
「こわい」
「どうして」
「悪役のままじゃないですかー!やだー!」
「これもまあ……シンプルでしょうか?
特に最初の件は、流れ自体は悪役転生もののアンチテーゼのように見えますが、結果は悪役側が無辜の転生者を、権力を使い殺害し、お咎めなしとなっていますね。
駄目なやつです。
担当神は、なぜ先行した転生者の状況を鑑みずに転生……いえ、転移者ですか。させたのです?
先行した転生者からの殺意がある以上、上手く行くわけがないでしょうに」
「えっ?
だってそれがストーリーだったので……」
「うーん、再教育部屋行き!」
「そんなー!」
「事例その3である。
『日本で死んだと思ったら転生していたけど、産後3ヶ月で普通に死んだ』。
『過労で死んだと思ったら転移してたけど、転移先が森の中でそのまま餓死した』。
『トラック転移したけど、3日後に馬車にひかれて死んだ』」
「転生者は二度死ぬ」
「この世界の神は転生転移者が嫌いなだけでは?」
「記憶持ちを送ったことで二重に怨嗟が発生しておる……」
「転生転移者にチートを何も持たせない場合、助けになる存在を近場に置くように。
越えられない要素ならば、避けられるようにしておくこと。
この場合はケアレスミスに当たります。担当神を再教育部屋へ」
「しかしですね、無暗にチートを与えるのは実質ハラスメントに当たるのではないですか?
私たちは全ての魂の救済を……」
「不満を漏らした者は説教部屋へ」
「なにをするんです!私は女だ!セクハラだぞ!!触るなアッ!!
女性への説教もセクハラだー!!訴えてやるぞクソがァッ!!」
「事例その4である。
『お嬢様に転移したが、突如別人になったと言われ、悪魔扱いされ殺された』。
『魂と魔力が異なるとかなんとかで、あっという間に死刑になった』。
『人格殺人だと言われ隔離されて、何もさせてもらえず死んだ』」
「憑依系ですか。そして、その先の人物の元々の中身との相違、それに気付く世界だと。
凄いですね、誰も得してない」
「いやいやいやこれ憑依者のせいじゃないでしょ!?
なんで憑依させたのさ!?こんなの不幸にするためとしか思えないよ!!」
「憑依など人智の埒外であろうに、そのようになったから罪だ、か。
魔女狩りに近い物があるなあ、こわいこわい」
「憑依者によるブッキングは、予定調和でない限りは避け、双方怨嗟の無い形に収めること。
そもそも担当神……どうしてこんな認識がある地に魂を送ったのです?普通に転移なり転生なりで良いではないですか」
「私もこのようなことになるとは思っておらず、深く反省している次第でございます」
「この3件全部君んとこのだよ。説教部屋」
「いえ!それは事務処理上の手違いというやつで、断じて私の責任ではなく、なっ、離せ!離さぬか!!私を誰だとッーー」
「事例その5である。
『前世の常識で挨拶したら不敬罪でぶっ殺された。お辞儀が挑発に当たるって何なん?』。
『あんまりにも酷い奴隷制度に反対したら反逆者として投獄された』。
『上手くやったのに、そもそも美醜逆転世界基準での美形しかいなくて地獄だった』」
「これは……もう、ミスとかいう以前の問題ですね」
「記憶を持たせていることが罰ゲームになっている例ですな」
「お願いだから一手先くらい考えて?」
「担当神は……」
「ぽえーん」
「剥奪処理室へ。転送機能を除去してください。
あと、こういう場合はちゃんと助けてくれる存在を近場に置きましょう」
「この神、この知能でよくこの会議に来られましたね。
……まさか、上位存在が!?」
「あっ、すみません、部下の俺が連れてきたんです」
「…………君は説教部屋へ」
「えっ!?」
「事例その6である。
『めちゃくちゃ頑張って作ったハーレムなのに、いきなり現れた「どこにでもいる平凡な男」に全員寝取られました……』。
『真実の愛を持つ運命の聖女とか言われてたのに、「唯一にして至高の番」へ乗り換えられました』。
『成長加速スキル持ちで努力も続けてきたと思います。「願いが現実になる」とかいうスキルに負けました。さすがにふざけすぎじゃないですか?』」
「あァー、組み合わせちゃいけないやつゥ!!」
「主人公を上書きしちゃうのは良くないねえ。良くないよ、実に良くない」
「……上位神、何かトラウマでもあるの?」
「え?いやいやないよないない。……可哀想じゃん純粋に……」
「瑕疵のない転生転移者のメタ要素を作らないように。担当神は説教部屋!」
「待て待て!みんな好きだろ!?最強の奴をチートで倒すの!」
「そうだそうだ!麿たちはテンプレに従ってテンプレの通りに魂のやり取りをしているぞ!」
「こんなのは横暴だ!権力の暴走だ!もっと冷静沈着な判断ができる神にその座を明け渡すべきだ!」
「連れて行け」
「「「ア゛ー!!」」」
「最後に……ん?
これは怨嗟と言うよりも、苦情であろうか?
『俺が最強チートだって間違いなく神とかいうジジィが言ったのになんでいきなり湧いて出てきたあんなクソザコ野郎がこの俺のエターナルダークネスブラックアイ・バスターブラストフレアを効かなくて俺の女も全部あのクソザコ野郎が盗みやがって魅了かチャームか知らねえけど絶対何か仕掛けがあるんだあんなの卑怯だろうが!話が違う!!責任者呼んでこい!!!』」
「これはひどい」
「確かにひどい。けど自分勝手な感じが神に向いているかと」
「面白いですね。……この魂、神格化してもよいのでは?」
「うむ。では神格化の採決を行う。
賛成の神はその意志を。
…………
うむ」
「賛同者を説教部屋へ送れ」
「しまった!!つい本音が出ていたかッ!!」
「クソッ!神格化提案した奴ッ……やはり賛同してねえ!!謀りやがったなァ!!」
「なんでえ!?面白ければいいじゃない!何のために神やってると思ってるのよお!?」
――それから、しばらくして……――
「やっと落ち着いたのう……」
「いつもの怠け神によるものでしたね」
「まあ、変わりないのはよいことだ」
「ですな」
「では次に、トラック転生させるのはトラックの運転手が可哀想なのでは?という議題です」
「そうは言っても……それは例の国の都合ですし」
「我々ではなく、例の国が存在する世界の神に聞くべきでは?」
「あそこの神は、恐竜時代にミスで隕石落としてから引きこもってますから、なんともできないかと」
「我々から見れば、ちょうどその時死んでいるだけですからね……
加害者を操作しているとしても、現実では唯一の結果でしかありませんし」
「寿命を除きますと、最も多いのは自殺で、次が事故です。
ですが、自殺者を転生させる例は少ないですね」
「扱い辛いのでしょう。
転生にしろ転移にしろ、フォローが難しい。
まあトラック転生が気になるなら、自殺者を転生させれば良いだろう」
「待ってください。不慮の事故で死に、そこから転生という形式が重要なのでは?
と言うか、自殺したら転生するという考え方は非常にマズいと思われます」
「ああ……そうであったな。得心した。
だがそうなると……」
「自殺の次に多い死因は事故死ですから、事実に即した状況なのでは?」
「そうですな。トラックでなければ乗用車、バス、バイク、自転車などで……結局運転手がいる。
ふむ、現状維持でしょうな」
「賛成」
「賛成」
「次は……神様のミスで死ぬ事例大杉問題」(Not誤字)
「まあ……」
「うん……」
「これはねえ……」
「いくつかあるんですよねーこれ。
ミスってことにしてチート付ける理由にするやつとか、転移させる理由にするやつとか」
「うちの上位神はこの間やらかしましたね。
下界の観光なんて止しとけばいいのに」
「まあ例の国の人間は、下手に出る相手を無碍にしないですからね。
ミスりましたすいません、で大体は納得してくれるのは非常に扱い……ありがたいです」
「扱いやすいよなほんと」
「せっかくごまかしたのに!!」
「次は、神様のミスでトラック転生した場合の運転手が可哀想問題」
「しっつれいなクレームじゃのう。ちゃんとそっちもフォローしとるわい」
「してない神がいたら説教部屋ですな」
「…………」
「おやあ……?」
「お次は?」
「何か、モブが主人公になるのはおかしくないかというクレームなのですが、要領を得なくて」
「それは……当人の自称や自己認識ということか?」
「転生先の元になった作品の人物がそう称されていたと」
「……人間とは不思議なものですね。
転生転移で散々世界を書き換えておきながら、主人公だのモブだのという……立場、ですか?そういったものは変わらないと思っている」
「不思議ですねえ……」
「次は、神様人間味有り過ぎ問題」
「新参の邪神に当たったら問答無用で食われますよね」
「ああ、例の祟り神であるな。
まあ、そういう神のところに行った魂からは、問題の提起も飛んでこないわけであるからして」
「暗数の問題ですか。
しかし邪神に食われるというのは、人にとっては問題かもしれませんが、我々にとっては日常では?」
「放っておけば輪廻の魂は増え続けるばかりだ。
魂を減らす神がいても問題ではない」
「そうですな。報告が結果として、人間味とやらのある神と接した魂からしか来ないだけだと。
現状維持で」
「賛成」
「賛成」
「最後に……神だからってなんでも好き勝手し過ぎじゃないですか?面白いと思ってるんですか?人間を何だと思ってるんですか?
こうしたクレームは毎度複数来ますね」
「くだらんなあ……こいつらは神を何だと思っているのだ?
好き勝手されるのが嫌なら殺しにでも来ればよいものを」
「いやいや、気持ちはわかりますよ。わかりますとも。
誰だって理不尽な思いはしたくない。
生きるために生きているのだから、それを妨害する者を憎み恨むのは自然なことでしょう」
「その怒りの矛先が神か。
彼らの国ではその存在すら認識できていないだろうに」
「言い過ぎじゃなあい?人だって必死に生きているのだから。
神の名をもって殺された人だっているのよ?迂闊なことを言うべきではないわ」
「ですが執行者は人でしょう。
結局は力。神でもなければ想いでもない。
人を直接害しているのも、人を守っているのも、力そのものなのですから」
「どのみち、我々にできる干渉など微々たるもの。
神の名を語り、神の言葉を伝えるのみよ。
その先で人間が何を感じ、何を行い、何を成すかは人間次第よの」
「そうですね」
「私たちからは、それしか言えないな」
「うむ。神は神。人ではないからのう。
例え殺したとしても罪には問われぬ。恐れることなど何もない。
ほっほっほ、いつでも、そう……いつでもかかって来るがよいぞ。
…………なあ?人間よ」