JKらしい生活を送れなくて草生える
―序―
国家を牽引する人物は、いつの時代も狡知に長け、業力に優れ、剛毅果断である。周囲から業腹され、剰え剛愎する民衆がいる中、術計かつ術数を用いて、率意国民を束ねる。神の如く、超人的な才である。
奇偉とはまさにこのことである。
一般人とは異なり、ぬきんでて、見地を広くして、千里の情勢のめぐりあわせを箱庭の中に入れ望む故、他者から王と崇められる。
数多の国民を統率し、神に近い存在である。それゆえに、「将軍」、「君主」「天皇」「皇帝」と称されるのだ。
そのような歴代の王たちの中には、治、理、義を匡正すべく、自ら王が将軍が、扉を開け、世界進出を試みる者もいた。
1586年、太政大臣となり、1590年関東、奥羽を服属させた人物、豊臣秀吉。彼は、織田信長の次に、天下統一を成した人物である。
中国を中心とする東アジアの秩序であったが、明の国力低下に伴い、彼は新しい秩序体制を創り出すことにした。
朝鮮出兵である。しかし、朝鮮水軍、明の援軍により戦況は不利になり、小西行長による講和対策がとられるも、秀吉は侵略を敢行した。結果、秀吉が病死するとともに、撤兵し、朝鮮侵略は失敗に終わることとなった。
この歴史に関しては、様々な見方が存在するが、その中の一つとして知行地不足の解消するための領土拡大戦争という側面を持っていたことも意味している。
重要なことは、自国のためには侵略する可能性もあるということである。
技術が発展すれば、国が豊かになり、人口が増える。土地を筆頭に、食料、資源など多くの物が必要とされることとなるだろう。それら全てを自国で賄えれば良いのだが、そういう訳にもいかない。
物質は有限である。制限があるから、外に目を向けるのだ。必要とするものが自国以外に存在するならば、争いを避けてそれを手に入れる。
それが、現代の世の中である。争いの代わりに金で必要なものを手に入れる。できる限りコストを下げて、手に入れる。
交換する手段としての金をどのように手に入れるのか。自国の資源、技術、製品など、相手が必要とするもので交換をする。金に換えられるものは、全て金に換えるのだ。
特に、日本国は資源が少ない国で有名だ。だとすれば、頭脳を金に換える他はない。
明治維新、太平洋戦争後の環境で、0から1へと作り上げてきたのは、日本の頭脳によるものといっても過言ではないだろう。
その柱があるから、現代の日本があるというものだ。
しかしながら、その聡明の頭脳は、果たして日本だけのものだと言えるのか。西欧、アジア、北米は、自国のために技術革新に注力している。故に、自国のためなら、ヘッドハンティングという侵略もしてくるだろう。
世界の覇権を握りたいからではなく、握らざるを得ないのだ。
なぜなら、自国を守らなければならないからだ。
そのことを理解している学生は、どのくらいいるだろうか。