カマキリ
走り書き
ザーガガガ
砂嵐のなるラジオには
鮮やかさが消え色褪せていた
涼しい風の通る祖父の家では
今はいない祖母にあげた線香がまだ臭う
夏休みの自由研究は
帰省先で捕まえたこの
カマキリ
だ、細く長いウェスト
大きく凛とした2つの目
長細い手足
整った体型は淡い緑色をしている
これは間違いなく
カマキリ
だ、少し言えば
他のカマキリよりも一回り大きい程度だ
…いや、二回り…かな?
僕は今年で10歳になる
このカマキリは僕と同じ身長なだけなのに父たちは怖がるし、叔父は神がどうとか話し出す
だから人目のつかないところに隠し
朝起きると体操をしてから
カマキリの背中に乗って山を探検する
冷たい風が横から殴る様に
雪とともに吹き荒れる
正月の帰省は毎年のことだが毎年楽しみにしている
実家につくと母が出迎えてくれた
その日はもう遅かったのでそそくさと布団に入り、寝た
翌朝はよく晴れ雪も降っていなかった
久しぶりに近くの山を探索してみた
少し歩くと何やら動く物陰が見えた
なんだろう
そう思い好奇心に身を任せ
物陰に近づくと腰を抜かした
な、なんだこの生き物は!?
確かに見覚えもあり名前も知っている
だが何だ、大きさ、サイズが、見たことないほど
小学生、中学の一年生程のカ…カ…
カマキリ
だ、大きな鎌に竹の葉のような羽
正真正銘これは
カマキリ
だ、思わず腰を抜かしたが
そのカマキリはキョトンとしてこちらを見ている
やっとの思いで立ち上がると
こちらによってきて周りを回るようにして
まじまじと見て来た
何だか可愛く思えてきた
ぐぐぅ〜
お腹のなる音がした
自分ではないのでカマキリの
音だとわかった
カマキリもお腹なるんだなぁ
春の暖かい光で目が冷めた
お腹が空いたのでそこら辺の山菜を食べる
ひもじい冬も終わり過ごしやすくなったな
そういえば去年の冬と夏は
お腹いっぱい食べれたな
ちゃんちゃん