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金メダリスト異世界でも最強をめざす!  作者: ノザワ・タキオン
4/8

入団テスト

 アランバートル家

夕飯 食卓

クロエの前に並ぶのは、ゆで卵の白身だけ10個、鳥の胸肉、サラダ。

「姉様、いつもそればっかり。」ジル

「なんで?」ベル

「筋肉のためよ」

「筋肉?」

「ほら」力こぶを見せるクロエ。

「すごーい。カッチカチ!」

「これ、はしたないわよ!おやめなさい」

「はい、お母様。」


食後

「すっかり変わったなあ、クロエは。」

「ほんと、瘦せて若いころの私にソックリね。」

2人の後ろでクロエが両腕にジルとベルをぶら下げている。

「まあ、ちょっとやりすぎの感は否めんが…。」



数日後 屋敷庭園

クロエとフランが稽古をしている。

組み合い、乱取り。「てい!」「あし!」

「今よ!」背負い投げでクロエを投げるフラン。

「今のタイミングを忘れないでね」

「はいいい…!!」

クロエの道着が乱れ、さらしを巻いた胸元があらわに。

「また少し大きくなったみたい…もう~邪魔だなー。」自分の胸をタユンタユンする。

鼻血を噴き出し倒れるフラン。

不思議そうにそれを見つめるクロエ。

『稽古中は男も女もないのに、まだまだねふらんも。』


木陰で一休み。

「フラン。入団テストって、そろそろじゃなかったっけ?」

「はい!今度の土曜日です。」

「聞いてなかったけど、何するの?」

「例年ですと、テスト生同士で対戦して、勝ち上がった10人程と騎士団の試験官が対戦して一本でも入れられれば合格です。去年は合格者はいませんでした。」

「そう…、もしかすると剣、使うの?」

「当たり前です。騎士団なんですから。」

「剣の練習してないわよね…」

「…はい」

『おじいちゃんが剣道の師範だったけど、剣の扱いは習ってないな~…、でも…』


10歳くらいの凪が道場で木刀を構えた老人と相対している。

「とりゃー!」

振り下ろされた剣先をかわし懐にはいる凪。

「その動き忘れるな!もう一本。」


「私、剣の稽古はしたことないの。」

「えええ!?」

「テスト生ってどんな人たちが来るの?」

「ゴロツキとか腕に覚えのある連中です。」

「なら、問題は騎士ね…。」

「え?」

「今の実力なら街のゴロツキなんて目じゃないわよ。」

「ほ、ほんとですかー?」うれしそうなフラン。

「剣をかわして懐に入る練習をしましょう!」「はい!」

「それともう一つ、技を教えるわ。」

「はい!」



騎士団入団テスト会場の横断幕

街のゴロツキから、どう見ても70過ぎのじい様。甲冑だけ立派な商人のボンボン、浮浪者まで様々な入団希望者が会場に詰め掛けている。

「今年も合格者は難しいかもしれませんね、団長。」

「国のために働きたいと申し込んできた者たちだ。むげにはできんよ。」

「はあ~」

ゼッケン25番をつけたフラン。

「お嬢様との稽古の成果、すべて出し切るぞー!」



ある侯爵家のお茶会。アリアの世話をするクロエ。

『今日はフランのテストの日なのに…応援に行きたかったな~』

「クロエ!紅茶のお代わりを!」

「はい。ただいま~」『頑張るのよ、フラン。』



「それでは入団テストを始める!」

「俺が責任試験官のマグルだ!まず、番号を読み上げた者同士対戦してもらう。試験官が続行不能と判断した時点で勝負が決する。いいな!なお、予選会は素手で行う。死人が出てはまずいからな。」

一同「はい!」

「25番前に!」

「はい!」

「40番」

「おおー!」身長は20㎝以上、体重は三倍はあろうかと思われる大男。

「フフフ、小僧、運が悪かったな。初戦が俺様とは!」

「あいつ、酒場でよくケンカしてるグードだろ?」「暴れだすと手が付けられねえんだよな、かわいそうに大けがしなきゃいいがな。相手の子。」

審判の騎士「大丈夫かい?棄権してもいいんだよ。」

「問題ありません。あちらにも同じことを聞いたほうがいいんじゃありませんか?」

「な、なにを~!」

顔を赤らめるグード。

『戦う前から勝負は始まってるのよ。怒らせて油断させスキを突きなさい』


「はじめ!」

「うおお!このクソガキがー!!」突進するグード。

相手の動きがスローモーションのように見える。

パンチをかわして懐に入り腕を掴んで足を払う。バランスを崩したところで背中にのせ、一本背負い!ドオオオン!グードは背中から落ちて…白目をむいて動かなくなった。

「う、うむむ。勝負あり!25番勝ち!」

どよめく会場。

その後フランの対戦相手は全員棄権した。


テスト生同士の予選会が終わり、6人が残った。

「残った者!次は俺が相手だ!一本でも取れたら合格だ!」

「き、騎士団副団長のマグル様が…?」

「マジかよ…」「棄権しようかな」

『相当の実力者なんだな…』

「さあ!誰からだ?」

「俺が!」

「ほう、さっきあの大男を投げ飛ばした兄ちゃんか!」残りの5人がすごすごと帰っていく。

「残ったのは、結局一人か…」

「まあ、いい。始めるか!」

木刀を抜き対峙する二人。

『前に立たれるだけでなんて圧力だ…』


「はじめ!」

『まずは間合いを測って。動きを見極めるの。』

振り下ろされる剣先を二度、三度とかわすフラン。

『相手が引いたら』一気に距離を詰める。狙うのは・・・「足!」

低い姿勢から足に攻撃を仕掛ける。『騎士はそんな戦い方しないから戸惑うはずよ。』

「うぐ!?なんだ?」

さらに攻撃!「くっ!この!」

「頭ががら空きなんだよ!」

振り下ろされる剣。

「今だ!」

剣先をかわしその腕に絡みつくフラン。

「け、剣を捨てた~?」「ばかな!?」

両腕でマグルの腕をきめるフラン。マグルの手から県が滑り落ちる。

「なんだ、あの動きは…?」周りの騎士たちがざわめきだす。

「こいつ!」マグルがフランの足をつかみ力任せに放り投げる。フランの身体が10メートル以上空に!

「いかん!あのまま地面に叩きつけられたら命が!」団長が腰を上げる。

ダン!

「医療班!」

土埃の中フランが何事もなかったように立っている。

「!!!!」

『受け身の稽古のおかげか…何ともない。お嬢様ありがとうございます。』

あっけにとられて立ちすくんでいるマグルに掴みかかるフラン。

『もう一つ技を教えておくね。』

足をかけマグルのバランスを崩す「あう!」腕に飛びつく。二人ともに倒れる。

「どうした?」

腕ひしぎ十字固め!!

『決まったー!』

『この技が決まって相手が参ったしなかったときは、躊躇なく折りなさい!

テストで審査されるのは技や根性だけじゃない、覚悟を見られているの。絶対に躊躇しないで!』

ギリギリと締め上げるフラン。「アググググ!」

『参ったしないなら、折る!』

「そこまでじゃ!25番合格!」


腕をさすりながら「いてえのなんのって、あんなの初めて食らったぞ。なんて技なんだ?」

「腕ひしぎ逆十字固めです。」

「なんやら物騒な名前だが、確かに腕がきまっちまってたな。」

「あの、ありがとうございました。」

「なにがだ?」

「戦った相手が強ければ強いほど感謝しなさい、と、師匠におそわりました。」

「あの技を教えた師匠がおるのか、ぜひお会いしたいものだな。」

「団長!」

「その師匠とやらはこの国に?」

「それが、その…」

『このことは、二人の秘密だからね。』クロエの顔が浮かぶ。

「訳あって今はお教えすることができません。」頭を深々と下げるフラン。

「おい小僧!生意気言ってんじゃねえぞ!」

「団長のお言葉は絶対なんだぞ!」ほかの騎士から怒号が飛ぶ。

「も、申し訳ありませんが、お答えできません。」

「わかった。今は聞くまい。」

「ありがとうございます。」

「今回は合格者が出たんだ!祝いの宴をあげるぞ!」

「おおおおおおおお!!」

フランを担ぎ上げるマグル。

『やりましたー。お嬢様!!』






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