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五百五十話 これからのプロット

【メアリー視点】


 これからの流れをまとめておこうか。

 いわゆる『プロット』を考えておかなければならない。創作するにあたって、物語の設計図をしっかり作成しておくことが一番大切だ。


 もちろん形式は自由だ。紙やテキストファイルにまとめておく方が無難だろうけど、ワタシくらいになると頭の中で整理するくらいでちょうど良かったりする。


 何度も『物語』を創ってきておかげだろうね。もうすっかり、慣れてきているのだと思う。

 まぁ、あらゆる権能が取り上げられているわけで、こうやって物語に携わることができるのもこれで最後かもしれないけれど……それは今、考えるべきことじゃない。


 とにかく、思考が冴えているうちにプロット作成しておこうか。

 またすぐにお色気コメディキャラに格下げするかもしれないからね。


(ふむ……とりあえず、プライベートビーチに人を集めることはできた)


 本来、関係者以外は利用できるはずがないこの場所は、物語的に少し扱いが難しい。

 かかわる人間が少ないと、起こせるイベントも少ないわけで……そのせいで物語に停滞が生じていた。でも、どうしても流れを生み出すために、他者が必要だった。


 だからこそ、この限定的な空間を壊すために……プライベートビートを解放したのだ。

 もちろん、その犯人はワタシである。


 現在、メアリーというキャラクターは胡桃沢くるりのメイドという立場にいる。つまりは胡桃沢の関係者であり、その権能を利用……いや、悪用してプライベートビーチに人を呼び込んだ。


 クルリにバレることなく、胡桃沢家をうまく操って一般人に開放できて良かったよ。あのピンクツインテールは聡明であり、ワタシの天敵にも近い冷静な思考を持っている。普段であれば、悪事はすぐにバレていただろう。


 しかし今、あのツンデレは髪の毛の色と同じように思考もピンク色になっている。おかげで裏で動くのはたやすかった。

 恋は盲目、とはよく言ったものだよ。あのクルリでさえ視野が狭くなるのだから、恐ろしいものだ。


 ともあれ、ビーチを解放できたおかげで『ナンパイベント』が生じた。コウタロウに刺激を与えて、物語にも流れを生み出せたと思う。


 これから、彼は変化に悩むだろう。モブという性分の人間に主人公性が付与されたのだから、戸惑いがないはずがない。


 対して、不変のシホは特に何も考えることはないだろう。何もせず、何も気にせず、流れに逆らわずにありのままの彼女でいてくれる。


 もちろんそれは好都合だ。絶対的なヒロイン性を有している彼女には、自分の意思を現実にする強制力が備わっている。彼女が何かを思えばそれが実現するのだから、何も考えない方がいい。


 そうでなければ、クルリが台頭できない。シホが油断している隙に、サブヒロインがメインヒロインを喰らう……彼女がメインヒロインの一人へと昇華することで、物語は次のステージへと移るだろう。


 それこそが今回の『プロット』だ。


 純愛ラブコメはもう終わりにしよう。

 次は泥沼の三角関係ラブコメがいいね。


 そうすることで、もっと物語が続く。

 コウタロウのシホのだらだら日常コメディはもう飽きた。


 やっぱり、シリアスな方が面白い。

 そのための流れはもう生まれている。


 後は流れに身をゆだねて、物語が進むのを待つばかりだ――。

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