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霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
第五部

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四百四十一話 相変わらずチョロかわいい

 結月が竜崎の家に泊まろうとしない理由が結構生々しい。

 でも……うーん、高校生ってそういう年齢なのだろうか。


 普通がどうなのかよく分からないので、なかなかリアクションが難しかった。

 そもそも俺は性欲が希薄なタイプである。前は「モブだから好みがないんだろう」とか思い込んでいたけど、冷静に自己分析してあまり性的欲求がない人間なのだと気付いた。


 たぶん、竜崎は俺とは違って人並みにそういうことに興味もあるんだと思う。

 だけど、結月は関係性の変化を恐れて、あいつに頼ることを躊躇ったようだ。


「一線、超えるかもしれないんだ……」


「恐らく……あまりこういう話をしたくはないのですが、まぁ……わたくしって、体つきが女性的なので……」


 気まずい空気が俺と結月の間で流れる。

 しかし――彼女だけは平然としていた。


「さっきから何を言ってるの? 私に分からない話をしないでくれるかしら……まさか浮気?」


 と、いうより、何もわかっていないようだった。

 すごくきょとんとしている。そして何故か浮気を疑われてちょっと困った。


 俺以上に、しほは知識すらないのかな。

 だとしたら……どう説明しよう?


 まるで幼い子供に『子供ってどこからくるの?』と質問された時くらい、言葉に悩んだ。


「えっと……まぁ、その。浮気じゃないよ」


 迷って、それから選んだ答えは……あえて触れないことだった。

 いつかちゃんと向き合う時が来るのかもしれない。


 でも、それは今じゃなくていいだろう。

 ということで、未来の自分に丸投げした。


「俺が好きなのはしほだけだから……あと、結月は単純にタイプじゃなくて」


「ええ、まったくです。わたくしは幸太郎さんを好きになんてなりませんよ。龍馬さんが好きなので」


 一応、幼馴染ではあるんだけどなぁ。

 相性が悪いことをお互いに理解しているので、俺たちが愛し合うことは不可能に近かった。


 そういう関係性だからしほも安心してくれると思ったのだけれど。


「はぁ? 幸太郎くんを好きにならないなんてありえないわっ。北条さんといい、浅倉さんといい、何か変よ。私からしたら竜崎くんの方が有り得ないもの」


 違う方向性で今度はふてくされてしまった。

 そう思ってくれて嬉しいけど、まぁ好みは人それぞれだからなぁ。


「あ、怒らせたかったわけじゃないですよ? 不快にさせてしまったらごめんなさい」


 キラリとは言い争いに発展していた。

 でも、結月の場合はすぐに謝るので、険悪にはならなかった。


「ふーん……北条さんは『ごめんなさい』が言えるいい子なのね。じゃあ許してあげるわ」


「それは嬉しいです。ありがとうございます」


「むふふっ。感謝されると気持ちが良いわ」


「……あ、なるほど」


 さっきから結月がペコペコするしほの機嫌が良くなる。

 その法則に彼女は気付いたらしい。


「しほさん、不快にさせてしまったお詫びに肩でもお揉みしましょうか?」


 途端に分かりやすくご機嫌を取り始めた。

 露骨すぎて普通なら怪訝になると思うけど……無邪気なしほはそんなことにならない。


「え、いいの? 北条さんってすごくいい子じゃないっ……さっきはツンツンしちゃってごめんね? ほら、肩を揉んでいいわよ」


 チョロい。すごく簡単にしほは結月を受け入れていた。


「ありがとうございます。しほさんみたいに素敵な方に触れられて、結月はとても嬉しいです。あ、なかなか凝ってますね。思慮深いしほさんはいつも考え事に忙しいのでしょうか。少しでも楽になるよう、マッサージさせていただきます」


 嘘だ、絶対。

 俺には分かる。しほの肩に触れたことがあるので、その部位がすごくふにゃふにゃだということを。

 しほが悩むことなんてめったにないのだ。肩がこるなんてありえない。


「……うふふ♪」


 しかし、しほは満更でもなさそうにソファの上でふんぞり返っていた。

 相変わらず、分かりやすくていい子すぎる――。


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― 新着の感想 ―
[一言] 幼なじみってのは一番身近にいる「他人」だと思います。 共に過ごした記憶の積み重ねが、深い絆を作っているというその唯一性こそがミソです。結月の場合は単なる知り合いですね。
[一言] 結月に限らないんだけど、特に結月は最初の頃と互いの認識における設定が変わり過ぎ。 全部中山のモブフィルターのせいと強引に押し通せばそれまでだけど、結月は彼女の視点だと説明つかない事多すぎる。…
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