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霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
第五部

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四百三十三話 あだ名問題

「霜月しほにあだ名? うーん……わがままちゃんとか?」


「却下! 嫌いっ。嫌い嫌い嫌い嫌い!! いー!」


 しほが歯茎を見せ付けるように「いー!」と言ってキラリを威嚇している。

 怒りのあまり、いつもより幼児退行していた。


 怒るのに慣れていないんだろうなぁ……そう考えると、微笑ましい行動だと思う。


「きらりんはすごくあれね。性格がキラキラしてない」


「ねぇ、名前いじるのやめてくんない? あんたにアタシの気持ち分かんの? 親にザ・キラキラネームをつけられた子供の気持ちを……! おばあちゃんが叱ってなかったらカタカナですらなく、漢字で『鬼羅離』になろうとしてたんだよ? 信じられる?」


「どうせなら『輝星キラリ』で良かったのに」


「それはまだ可愛いから許せるけどね?」


 ため息をついて、キラリはメガネのフレームをくいっと上げる。

 それを見て、しほも真似するように伊達メガネをくいくいしていた。ただ、動作が慣れていないのですごくぎこちない。


 キラリもその仕草が気になっているようで。


「真似しないでよ」


「まねしにゃいでよ~」


「子供かっ」


「子供じゃないわ」


「ムカつくなぁ。こーくんはよくこの幼稚なおこちゃまを許容できるね」


「それもしほの良さだから」


「…………!」


「出た。無言のドヤ顔……ってか、こーくんの一言だけで顔が真っ赤になってるし」


「こらっ。『こーくん』はやめてって言ってるでしょ?」


「やめませーん。中学時代からの付き合いなんだから、絶対にイヤだしあんたの言うことなんて聞いてあげない」


「ぐぬぬっ!」


 しほが威嚇するように八重歯を剥き出しにして唸る。

 普段は猫みたいなのに、怒ったら子犬みたいだった。寂しがっている時はうさぎみたいだし、楽しい時は小鳥みたいで、つまりは可愛いが濃縮されている存在である。


 ……こんなことを考えているあたり、俺は相当しほのことが好きなんだろうなぁ。

 バカップルと言われても仕方ないと思った。


「あ、もうりゅーくんとデートする時間じゃん」


 会話が途切れたタイミングで、スマホを確認していたキラリは慌てた様子で立ち上がった。


「デートだったんだ」


「うん。近くに公園あるでしょ? 散歩しようって約束してて……でもそわそわしてたから、ちょっと早めに来ちゃったんだよね。それで、暇つぶしに図書館で本で読もうと思ってたのに、クソガキのせいで結局読めなかったんだけどっ」


「ちょ、ちょっと! 私のあだ名『クソガキ』なの? せめてもうちょっと可愛いのがいいっ」


「……確かにクソは言い過ぎかな」


「『がっきー』とかどうかしら?」


「いい根性してるね。国民的俳優さんと同じ愛称を望むとか……まぁ、でもいいか。がっきー(笑)」


「あれ? なんだかイントネーションがおかしい気がするのだけど?」


「気のせいじゃない? じゃあ、アタシはそろそろ行くね……報われない恋心を爆発させてくるから」


「切ないこと言わないで、がんばれー」


 応援のために手を振ると、キラリはニッコリと笑い返してくれた。


「バイバイ、きらりん」


「……ふっ」


「わっ、すごい……ただ笑っているだけなのにすごく嫌いって思ったのは、竜崎くん以来だわ」


 それから、しほには嘲笑を返してから背を向ける。ふと時間を確認したら、30分くらい経過していた。

 予期せぬ遭遇だったけど、時間を忘れるくらいおしゃべりに夢中だったようだ。


「じゃあ、とりあえず図書館に入って……」


 外は暑いので、中に入って涼もうとする。

 しかし、しほは立ち上がりかけた俺の服を掴んで、引き留めた。


「あだな、決めるっ」


「え?」


「だから、あだな! 『こーくん』を越える呼び方を、ちゃんと決めるわ」


 そう言って、しほは鼻息を荒くしていた。この様子だとすぐには終わらなそうである。

 ……図書館で涼むのは、もうちょっと後になるかもしれない――。

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― 新着の感想 ―
[一言] スポーツ大会の時の会話の感じから幸太郎とキラリは昔の知り合いって感じに落ち着いちゃうのかと思ってたけど、しほを介してまた友人には戻れそうな雰囲気で良かった というか個人的にキラリと結月にはま…
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