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霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
第五部

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エイプリルフール特別企画 エイプリルツンデレ

いつもお読みくださりありがとうございます!

エイプリルフールの特別小話です。

どうぞよろしくお願いしますm(__)m

 4月1日のこと。

 いつも通り、のんびりと家で過ごしていたらしほが遊びにやってきた。


「幸太郎くん、今日は何の日でしょうかっ!」


 到着早々、彼女は俺の部屋でゴロゴロとくつろぐ。

 まるで自分の家のように我が物顔で、俺の布団に潜り込んでいた。


「今日は……しほが無事に三年生になれて良かったねっていう記念日?」


「無事にってどういうこと!? 私はちゃんと安全で安心に三年生になれたもんっ。成績も平均点くらいだったし、留年は二年生になるときよりは安全だったわ」


「二年生に上がるときは意外に危なかったのか……」


「当時は若かった……って、そういう話じゃなくて!」


 受験生になる今年、勉強も頑張りだしたしほにとって進級は容易いことだったようだ。

 わざわざ記念するほどのことではないようである。


 それでは、何の日だろうか。


「今日はね――『エイプリルフール』なの」


 ……そういうことか。

 たしかに、4月1日といえば『エイプリルフール』である。


「つまり、ウソをついてもいい日!」


「まぁ、そうだけど……俺に宣言したらウソの意味がなくなんじゃないかな」


 ウソをついて驚かせたいのであれば、何も言わない方が都合が良かったはず。

 エイプリルフールを知ってしまった以上、俺はしほの発言に気を付けるだろう。


 そう思ったのだけど、どうも彼女は『騙したい』とは思ってないようだ。


「だから、私が言うことは全部ウソだからねっ? それをちゃんと理解しててね?」


 念押しするように、エイプリルフールであることを強調して。

 それから、彼女が言ったのは――こんなことだった。


「幸太郎くんのことなんて大嫌いなんだからねっ!!」


「――え!?」


 いきなりの発言に、心臓がねじれそうになる。

 嫌いと言われて、一瞬もう死んでしまおうかと思ったのだが、すぐに今日がエイプリルフールであることを思い出した。


「って、そうだ。今日はエイプリルフールだから、しほの発言はウソ……つまり、俺が大好きってことか」


「ううん、だいっきらい!」


「――ぐふっ」


 分かっている。

 嘘だって、ちゃんと理解している。

 でも、しほの『嫌い』という発言は鋭利な刃物のように、心を切り裂いていた。


「幸太郎くんなんて本当に、本当に、本当に、だいっきらいだもーん」


「くっ……そ、そうなのか?」


「もう、どうしようもないくらいに、嫌いだよ?」


「いや、落ち着け。今日はエイプリルフールだから……!」


「幸太郎くんなんて、いなくなっちゃえばいいのにねっ」


「っ……!!」


 嘘って分かっているのに、体がアレルギー反応を起こしたみたいに過剰なリアクションをしていた。

 俺にとってしほの『嫌い』という言葉は、それくらい重いのである。


 そんな俺を見て、しほはものすごく楽しそうだ。


「っ~~!! 幸太郎くんがすごく困ってる……私の言葉で、すごく動揺してるっ。むふふ、たまにはこういうのも最高だわ♪」


 たまに出るんだよなぁ。

 しほの、ちょっとイタズラ好きで、意地悪な部分。

 若干、ヤンデレ風味というか……しほはどうも、俺が困っている顔が好きみたいである。


(……やられっぱなしは、ちょっとなぁ)


 正直なところ、別に悪い気分ではない。

 しほに意地悪されるというのも、俺だけの特権と思えるので、たまにであれば嫌いじゃない。

 だけど……俺だけが困るなんて、それはちょっと不公平だと思ったので。


「――それなら、俺もしほを大嫌いになってもいいか?」


 ささやかながらに、俺からも反撃をした。

 今日はエイプリルフール。つまり、嘘なので……『もっと大好きになっていいのか』という意味になる。


 そうなる、はずだが。


「えー!? う、嘘だから!! 私、幸太郎くんのこと大好きだよ!? き、ききき嫌いなんてなっちゃイヤ……だめっ。ごめんなさい、幸太郎くんのこと大好きで大好きで大好きだから……嫌いにならないでぇ」


 たった一言。

 しかも『嫌い』とは断言していない。

 質問しただけなのに……『嫌い』という単語だけで、しほは俺の千倍くらい動揺していた。


「エイプリルフール終わり!! ほ、本当は大好きだから、私のことも大好きに戻ってくださいっ」


 泣きそうな顔で俺に、子供が駄々をこねるようにベッドの上でジタバタするしほ。


「うわーん、ごめんなさいぃいいいいいい!!」


「わ、分かってる。俺も嘘だから、落ち着いてくれっ」


 ものすごく打たれ弱いしほに『嫌い』と言う言葉は強すぎたみたいだ。

 そして、来年以降『エイプリルフール』でもしほがウソをつくことはなくなったのは、語るまでもない物語である――。




(終わり)

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