表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
第五部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

404/654

三百七十話 元クリエイター(自称)の考察 その2


 どうやらメアリーさんは、こんなことを考えていたようだ。


「コウタロウには申し訳ないけれど、そもそもキミは主人公の器じゃない。物語を動かすには不適格なキャラクターであるだけじゃなく、ストーリーを生み出せるほどの『力』がないんだよ」


 ……そんなこと、言われなくても分かっている。

 中山幸太郎というキャラクターには、元々何も設定されていないのだから。


「それでも、メインヒロインのシホに愛されることによって格が吊り上げられて主人公の座に祭り上げられてしまった。分不相応の立場で、身の丈に余る幸福と不幸を手に入れたコウタロウは、死に物狂いで理不尽に抗った……その結果、今に至るわけだ」


 竜崎龍馬の物語が終わった。

 いや、正確に言うなら……俺の存在が、あいつのハーレムラブコメを壊した。


 メインヒロインを失ったあいつの物語は、そのぽっかりと空いた穴を埋めるために迷走したけれど、結局しほ以上の存在は現れなかったのである。


 こうして、竜崎は主人公ではなくなった。そして今度の主人公に最も近い立ち位置にいたのは……中山幸太郎だったのである。


「これは予想できた未来の一つではある。ただ、ワタシにはどうしてもキミが中央に立っている物語の全体図が見えない。リョウマと違って華もなければ、主人公としての欠陥もなく、成長の余白がない。物語を生み出すには、あまりにもキャラクターが弱すぎる」


 散々な言いようだけど、不思議と腹は立たなかった。

 言われ慣れているし、思い慣れている『事実』だったからなのだろう。


「それなのにどうして、コウタロウではなくリョウマの物語が『打ち切り』になった? ワタシがクリエイターであるならば、コウタロウなんて選ばない。こんな……たまたまシホに選ばれてしまっただけの『モブキャラ』なんて、つまらないからね」


 逆に清々しいと感じるほどにハッキリとした物言いは、なんだか気持ち良かった。

 最近、抱いていたモヤモヤが晴れていくように、スッキリとしたのである。


「……おいおい、ワタシはキミを褒めてないぞ? どちらかと言えば揶揄しているのに笑うなんて、気持ち悪いなぁ。コウタロウはもしかしてマゾヒズムでもあるのかい?」


「え? ああ、ごめん。別に、気持ち良くて笑ってるわけじゃなくて」


 そういう癖があるわけじゃない。

 ただ……そのワードを他人の口から久しぶりに聞いた気がして、なんだか懐かしさを覚えたのである。


「モブキャラって、久しぶりに言われたなぁ――って」


 昔はよく、自分をそうやって卑下していた。

 あれからまだ一年しか経っていないなんて……その間に色々ありすぎて、随分と遠い昔のように感じる。


 そうだ。俺は、モブキャラだった。いい意味合いの言葉ではないけれど、なんだか随分と居心地がいいワードである。


「……なるほどね」


 そんな俺を見て、メアリーさんは苦笑した。

 久しぶりに見た、他人を小バカにするような笑顔である


「にひひっ♪ コウタロウの問題点は分かったよ……なるほどねぇ。シホが苦労するわけだ」


「何が分かったんだ? 俺の問題点を教えてくれ」


「コウタロウは……結局、モブキャラでいることに安堵感を覚えているんだよ。自分がメインの立場にいることを受け入れ切れていない。だからキミは、時折違う自分になろうとしてしまうんだろう? メインキャラクターに相応しい『中山幸太郎』になろうとして……しかし、ありのままのコウタロウを愛しているシホが、それを嫌がっている――そういう構図は、見えたかな」


 ……やっぱり、メアリーさんは天才だ。

 久しぶりにそれを実感させるような分析だった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うーん。メインの位置にいるのが受け入れられないから、メインにふさわしくなろうとしている、っていうのはちょっと判りづらいかなあ。 それなら、モブに徹しようと逃げ出しても良いはずだし… そして、…
[一言] メアリーを天才だと思うところがまず病気。 同じ病気の人間同士だから素晴らしい分析のように聞こえるんだろうけど、単に「卑屈で自己肯定感に乏しくて、そこがしほは気に入らないんだ」って指摘してるだ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ