ハロウィン特別企画 お菓子をくれなきゃイタズラ――してもいいの!? その5
急に恥ずかしくなったのか、しほはモジモジと体を揺らしていた。
「た、確かに、この恰好ってすごくあれだわ……!」
やっぱり、あれだよなぁ。
あまりそういう感情が薄い俺でも、ドキドキさせられるくらいである。
「ごめん……いや、別にそういう目で見てるわけじゃなくてっ」
不快にさせてしまっていたら申し訳ない……そう思って謝ったのだけど。
「ううん――幸太郎くんにそういう目で見られるのは、あまりイヤじゃないわ」
しほがそんなことを言うから、また空気が変になっていた。
「「…………」」
気まずい空気が流れる。
お互いになんて言えば分からなくなっていた――そんなタイミングで、彼女がぽつりと呟いた。
「ねぇ、梓もここにいるよ? なんか二人だけの空間みたいになってるけど、ちゃんと梓も忘れないでね?」
……た、助かった!
呆れたような梓の声が、俺としほを正気に戻してくれた。
「いや、忘れてはないよ」
「おにーちゃん、なんか霜月さんと梓で反応違くない?」
「そ、そんなことないからっ」
ごめん、ウソだ。
梓に関しては、幼いころからよく一緒にいるので、そういう感情が一切ない。
せいぜい、園児のお遊戯会なのだ。
でも、しほは違う。
いい意味で他人であり、近しい存在でもあるから、ドキドキしてしまうのかもしれない。
「ええ、そうよ。あずにゃんもすごくかわいいわ! それでこそ私の妹ちゃんね」
「梓は霜月さんの妹じゃないよ? おにーちゃんの妹だもんっ」
いつものやり取りを聞いて、やっと平常心が戻ってきた。
そうだ。この場には梓がいるのだから、もっとしっかりしよう。
梓に変なところを見られるわけにはいかないので、しほに対する感情はちゃんと押さえておいた。
「とりあえず、ハッピーハロウィンってことで!」
ハロウィン……と言えば、トリックオアトリート。
うん、お菓子……って、そういえばお菓子もあった!
しほの言葉で、お菓子を買ってきたことを思い出す。
すっかりコスプレに意識を持っていかれていたけど、本来はこっちがメインだったのに。
「俺も、ハロウィンだからお菓子も買ってきたんだった。玄関に置いてあるから、持ってくるよ」
お菓子の入った紙袋は、扉を開けた時の衝撃で玄関に置きっぱなしだ。
取って戻って来ると、梓としほが目を輝かせていた。
「おー! たくさん買ってきたのねっ」
「わーい、やったー!」
結構たくさん買ったこともあって、二人はすごく嬉しそうだった。
なんだかんだしほと梓は嗜好が似ている。ゲーム好きで、インドア派で、しかも甘党なので、相性がいいのだ。
お菓子も大好きなので、二人一緒に喜んでいるのだろう。
「って、いやいや。今日だけで全部は食べさせないぞ? さすがにこれだけ食べたら体に悪いから」
「「えー!」」
甘い食べ物は別腹と言っていたから、制限しなければ際限なく食べられてしまう。
さすがにそれは、今後のことを考えるとまずいので……ここは心を鬼にして、我慢してもらわないと――。




