ハロウィン特別企画 お菓子をくれなきゃイタズラ――してもいいの!? その2
『ピンポーン』
『ガチャッ』
「こんにちは、あずにゃん!」
「……何しに来たの? おにーちゃんならいないから帰ったら?」
「いないなら来るまで待てばいいじゃない。ほら、中に入りましょう?」
「梓の家なのに、なんで霜月さんが先導してるのっ。あ、勝手に入らないで! 入るならちゃんとスリッパ履いて……って、それおにーちゃんのだから! 霜月さんのはこれって前も言ったでしょっ!」
「あずにゃんは神経質ね。そういうところもかわいいけれど、細かいところばかり気にしていたら疲れちゃうわよ?」
「誰が疲れさせてると思ってるの!? もうっ……それで、何しに来たわけ? なんか、荷物が多いように見えるけど……」
「むふふっ。よくぞ気付いたわ……さすがね」
「イヤな予感しかしないから、気付かなければ良かったって今はすごく後悔してる」
「ちなみに、あずにゃん? 今日は何の日か分かる?」
「日曜日」
「違うわ。そううことじゃないの……ほら、もっと心が躍るようなイベントがあるでしょう?」
「……うげぇ。もしかして、ハロウィンのことが言いたいの?」
「そう! それよっ。今日はハロウィン……つまり、浮かれて羽目を外して騒いでも誰も怒らない日!」
「そんなことないよ!? ニュースで問題視されてるって偉い人が言ってたもんっ」
「大丈夫よ、私に外で浮かれるような機能なんて備わっていないもの」
「……内弁慶だもんね」
「それはあずにゃんもでしょう? だからこそ、私たちは家の中でハロウィンを楽しむことにしたわ」
「ちょっと待って。私『たち』ってなに? ま、まさか、梓とおにーちゃんも巻き込むつもり?」
「そのまさかを実現させてあげるわ。と、いうことで……はい、これコスプレの衣装。猫ちゃんと小悪魔ちゃん、どっちがいい?」
「ちょっ――!? こ、こんなの着るの? え、おへそ見えるよ!? ノースリーブだし、ミニスカだし、こんなの着ても大丈夫なの!?」
「こ、こんなに短かったのね。ママったら、コスプレが趣味のお友達からもらったって言ってたけれど……ちなみにその人は私やあずにゃんと体形が似てるらしいから、サイズは問題ないと思うわ」
「……梓は着ないよ?」
「ダメよ。私も着るから、あずにゃんも道連れにするわ。」
「なんでそんなことするの?」
「コスプレしないと、ハロウィンを心から楽しめないじゃないっ」
「……絶対にイヤって言ったら?」
「おねーちゃんの言うことを聞きなさいって叱るわ」
「おねーちゃんじゃないって反論したら」
「泣くわ。ぐすっ」
「霜月さん…………卑怯だよ?」
「霜月さんじゃないわ。おねーちゃんって呼んで」
「それだけは絶対にイヤ!」
「……めそめそ」
「あー、もう……分かった! ハロウィンだけはやってあげるから……その嘘泣きやめてっ」
「わーい、やったー!」
「うにゃー! もうヤケクソだよ……梓は猫ちゃんやるから、霜月さんは小悪魔ちゃんのやつでいいよね?」
「猫ちゃんあずにゃん見たいから、それでいいわ。せっかくだし、幸太郎くんが帰ってくるまでに着替えておきましょう? それで、帰ってきたらびっくりさせてあげるのっ」
「はぁ。まさか梓がハロウィンをやるなんて……うぅ、やだなぁ」
――俺が来るまでに、そんなやり取りがあったようで。
玄関で出迎えてくれた二人は、真っ赤な顔でその経緯を教えてくれた。
「と、いうわけだから……おにーちゃん、早く玄関を締めてもらっていい? 梓、ご近所さんにこの恰好を見られたら、たぶん一生引きこもるから」
「さ、さすがに、幸太郎くん以外にこれを見られるのは、確かにちょっと……」
いや、そんなに恥ずかしいなら、無理しないでほしいんだけど。
参ったなぁ……かわいすぎて、ちょっと目のやり場に困った――。
続きます




