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第一章【完結!】:アイドルの言葉の由来には、ラテン語の偶像崇拝が転じているらしい。

前回で、遂に登場することとなった姫君『ラズ・イ・ソンブラ』姫。

 彼女を最強たら占める能力、【21番目の大アルカナ_世界の能力:破壊】は一瞬にして銃弾を、空から破壊してしまう。

 創造と破壊、故に絶対。


 そんな彼女の粛清対象になってしまう、元王立勅撰騎士団のキャブラ。彼女を前にしても、山賊の頭は、頭たる姿を皆に見せつける。

 絶対との戦い。

 そして、念願の【王都】到着。


 記念すべき第一章完結、となりたい第5話です!! おっと、6話まで言ってるやないかい!!


 そもそも、勝ち目など無かった。

 インプ・ラ・キャブラ。山賊の頭にして、元【王立勅撰騎士団シエト・コラジェ】……。


 「ジョブは元【暗殺者アサシン】。今の山賊になった時、転じて派生職業アグラバシオン山賊ポロフライト】を得た」


 暗殺者アサシンの基本スキルは4つ、

【子ヤギの跳躍カブリト・サルタンド】・【カメレオンのオーシオ・カメレオン

 さらに、後2つ……。


 そしてさらに厄介なのが、その上位互換に当たる【山賊ポロフライト】。そのスキルは、一つにして7つの形を持つという、弁慶も驚きである。


一つ、【山賊の七つ道具:コルミリオ・デ・ロボ

二つ、【山賊の七つ道具:毒蜂ウナフォト・デウナ・一撃アベジャ・べネノサ

三つ、【山賊の七つ道具:ガラ・デ・オソ


四つ、【盗賊の七つ道具:********】……、ソードブレイカー。


五つ、【盗賊の七つ道具:巨大サソリのコラ・デ・エスコーピオン・ギガンテ

六つ、【盗賊の七つ道具:ドラゴン雄叫クライび】

 あと、1つ……。


 対する、僕はと言えば。


 【無産市民アパラスタダ】_職業ジョブを持たない人々の総称。



 いや、待てよ。

「姫様って、称号デレイチャ持ちだけど。職は、無いんじゃ……」

 つまり、【無産市民アパラスタダ】

「ムム、聞き捨てなりませんね」

 本当に、姫君はこちらによそ見をした。聞き捨てず、僕の方へ振り向いた。


 隙。

 ダンッ、ダンッダンッ。竜が、火を噴いた。


「破壊、します」

 よそ見したまま、無感情な声だけが発せられる。

 破壊、破壊。

 一つ、二つ、三つ……、まだまだですね。

「畜生、チート使いあがってッ」

 後ろで、そう声を荒げたのはキャブラだろう。ただ、姫君に見つめられてとても、目を離せない。

「私は、姫君プリンセスですよっ!?」

「?」

 ああ、なるほど。


≪『ラズ・イ・ソンブラ姫』>メニュー>ジョブ

・【姫君プリンセス

 

 やっぱり。

 姫、というのは最早、職という事らしい。人間王も、王妃もそうなのだろう。

 じゃあ、勇者も??

「勇者は、ジョブは職でも、EXジョブと言って特別枠です。何というか、まあ。職とは言い難いってことですね」

 ???

 ジョブと、エキストラ……。派生、もうよく分かんねえよっ!!

「大丈夫ですよ」

 姫は、柔和な笑みを浮かべる。慈愛、こういう事だろうか。


 あの時の、自分に見せてやりたい。


「貴方は勇者様ですから」

「いやっ」

 姫様、僕はそんなたいそうな人間じゃありません。41回の間に、誰も倒せなかった。

 どころか、仲間も守れずに……、貴方に助けてもらっている。

「姫様、僕はっ」


「これでも、2番隊を背負ってったんだぜッ」

 ダンッ。ダンダンダンッツ。銃声。

「はかッィ……あれ?」

 バサッと、姫の桜色の髪が、揺れる。肩までかかる見事な髪が、揺れて、裂ける。

 小さな弾痕から、やっとキャブラが見えた。

「ちえッ、使い辛ぇな」

 そう言う彼の手には、銃? いや、ただでさえ手のひらサイズだったのに。


「複合スキル、っても元の(暗殺者)と山賊の(盗賊の七つ道具)を合わせただけだけどな」

【実在したハチドリ(コリブリ・レアル)】

 小指サイズの、ピストル。

「威力も落ちちまう、まあ。殺傷には十分だがな」


「破壊、破壊破壊破壊」

 四つ、五つ、六つ……、まだまだ。姫は髪以外に、何処の傷もないらしい。良かった。

「姫ッツ」

「いや、ダイジョブです。それより、頭を下げておいてください、来ますよ!」

 姫は、キャブラの方へ向き直す。

 その美しい長髪に、幾つかの傷が付いている。これが、最後の傷になればいいのに。


「ダイジョブさ。これから先お前は、彼女の傷を見ることは無いのだから」

 誰かが僕に囁いた。


「お前らッツ、やるぞ。遠くに離れてろ、そして」

 二度と、戻ってくんな。

「ありゃしたあああ」

 森の中から、そんな声がした。おいこら、この野郎。帰ってこいチコッツ! アイツ、一目散じゃねえかよ。取り押さえろ。ひえっ。あ、逃げやがった!


 ひくいち。


「お前らも、続け。巻き込んじまうぞ」

 そう言って、彼は屈む。それは陸上のクラウチングスタートに近い、始まりの姿勢だった。

「【子ヤギの跳躍カブリト・サルタンド】を、出来る限り……」

 身体上昇のスキル、それを彼は計4回だろうか、点滅があった。

「これぐらいやりゃあ、アンタについていけるかな?」

 何処か苦し気に、彼は言う。それに対し姫は、無感情に、

「早さは問題じゃない」

 そう言った、瞬間に。


「先ずは、一発目っ!」


 キャブラの体が、姫の真横をとった。そのまま、手の降れる距離で、ダンッツ。

「何度やっても、はかィ……」

「【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】」

 ? 恐らく、最後の暗殺者スキル。


 次……、背後。ダンダンッツ。

「破壊ッ」

「【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】」

 ??

「何を、やっているんです?」


「破壊しますって」

「【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】」

???

「いないっ、どこに」

姫は咄嗟に、自分の体を確認する、が。勿論、一つも傷はついていない。


ダンダンダンッツ! 「まだまだ」

「破壊」

「【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】」

「だからッ、弾は? 弾を、どこに」

ダンダンダンッツ。

「【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】」

「破壊」

破壊破壊はかい破壊破壊破壊ッツ!


 手ごたえの無い、破壊の声。

 着実に何かを成しているような、キャブラの嬉々とした声。

 広間に、二人の口喧嘩のような、それでいて他人事がつらつらと。

「破壊」

「【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】」

 気付けば、逆転し。戻り、逆転し。


「【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】」

「破壊、出来ていない」

 どうして?


 こんなやり取りが、4~5回は繰り返され、そして。

「行くぞぉおおおおおおおおッツ!」

 獣の雄叫びが起こる。広間の中央、息が切れたキャブラだった。

「姫様っ。俺ぁ何が、あの人を勇者から踏みとどまらせたのか知らねえがよ」

 姫は、いつの間にか僕の前に。

 息が、切れている。

「あの先で、名誉ある死を待ってたんだ」

「そんなもの、ありませんよ」

「いや、俺はあると信じていた。でないととても、やっていけなかったから」

 銃もない、膝は地についていた。

「破かっ」

「俺はっ」

 キャブラは姫でなく、僕を。僕を見据えるようにして、言う。


「わざわざ生き勇んで、死にに行くようなことは無いと思うんだ。列車に乗った後じゃ、幾ら後悔したっておせえんだ。あれは、片道切符だ」

「だから、此処で食い止めると」

「不器用なんでね」

「いえ。此処に辿り着いた人間に、そんな言葉で踏みとどまれる人なんて、今も今までもいなかったでしょうよ」


 貴方が仲間を背負ったように。彼は今、その先を見ようとしている。


「じゃあ、止めて見せろよっ!」

 何を?

「俺は、【容赦の無い情け(コンパッション・デスピダダ)】を解除するぜ」

 解除? 果たして、何を? 何を、解除するというのだろう。

「アンタは、破壊だ。それは確かに最強だけれどよぉ。そりゃあ、出来ればの話だよなあ」

 解除……、解除?

「ああ、そうですか。どおりで。破壊するまでも、無かったから」

「同時に、ほぼ全方向から。しかも、視認の厳しい、極小の弾をぶち込まれたら?」

 流石に、まいるよなあッツ。

 何が起こっているのか、僕だけが分かっていない。その恐怖で、僕は体を縮ませる。と。

「冷たい?」

 朝露? いやいや、宙だぞ。 雨でもなく、まして空気じゃないとすれば。

「幾つの弾が、宙に残留しているんでしょうね?」

「俺が静止させている数は、23発」

「十分ですね」


 かぞえまちがい


キャブラは右手を突き上げた。

恐らく勝利と、自死の象徴として。

「解除」

 その瞬間に、全方向。全角度、全弾丸。

 23発が、発射された。

「勇者様、山賊の数は何人でしょう?」

 何? このタイミング?

「ええ……、と。20~30。もっと増えてるかもしれ」

「ぶぶー、30名です!」

 ああ、クイズ形式でしたか! おいおい姫様、可愛いなあ。


「破壊します」


 無感情に発せられた一言で。

 そう、たった一言で? ジャスト23発は、破壊されたのだった。

「はあっ?」

「いえ、正しくは。23発の弾丸が発射される、というアクションを破壊しました」

 あー、それごとってことね。ハハッ。

「って、おい! そんなこと出来ちまったら。あんた、ああ」

「私は、世界最強ですよ!?」

 右拳を突き上げたまま、キャブラは。ははっ、そう渇いた笑いを。そうするしか、無かった。

「もう、終わりだ」

 初めて聞いた、彼の弱音。

 頭、として。

 その手前、元【王立勅撰騎士団シエト・コラジェ】の誇りをかけて。彼は、負けたのだった。

 いや。まだだ。


「頭っ。アンタの弱音何て、誰も求めちゃあいねえぜ」

 この声は。

「テレンダ? だけじゃ、ねえな。お前ら、何で?」

 この広間は今、再び彼らのアジトになっていた。囲む森から感じる、視線と高揚。その中心で、山賊の頭は何が起こったのか理解できずに、ははっ。

 そう笑った。

「盗賊の七つ道具、最後の道具は。そう、それだけが、アンタの考案だろお?」

 テレンダが叫ぶ。それに応えるように、

「うるせえ!」

 彼は膝を、上げた。

「そんなの、決まってんじゃねえか!」


七つ、【盗賊の七つ道具:かけがえのない仲間】


「やかましいやい!」

 その掛け声は、頭か、テレンダかほかの一味かもしれない。

「行くぞぉおお」

 囲む森から一斉に、彼らは姫に飛び込んだ。

 一人の冒険者として、彼は姫に完敗したけれど。頭として、まだ彼は負けていない。

「俺だって!」

 先ほど、一目散逃げたはずの男も。全員が、一斉に攻撃を仕掛けるのだった。


【山賊の……】 【暗殺者】の……、スキルッ!

声が、揃った。






あっ。冷たい? ああ、そうか。ハハッ。



「いやあ、なんか良いムード悪いんですけれど。私、何か忘れてません?」

 姫が、言う。

 あの心の和む、弾む声だった。


「【21番の大アルカナ_世界の能力:創造キング】」


 破壊と創造。

 その二つを持ち、故に世界。

 故に、最強。


「私が創造するのは、弾丸の勢い。今まで破壊してきた勢いと、さきほど不発した23発」

 計29発。

 対する山賊の一味、30発。

「貴方を残しましょう」

 意味ありげなセリフと共に、全ての弾が。発射された。



「どうして?」

「どうしてって。貴方が一番、権利を持っているからよ? 物語に登場する権利。いや、称号デレイチャ

 先ほどまで、意気揚々としていた人の群れが。

 一瞬で、壊滅した。その、広間で。

「そんなもの、何になるというの?」

 テレンダは、死体の山を見回した。

「何もなければ、何も起こりはしないわ」

 そう言って、姫君も周りを見回した。

「ねえ? こうしましょう」

 それは、背後に守られていた、僕に対する声だった。

「はいっ?」

「彼女を活かすか、殺すか。勇者様が決めてくださる?」

 え?



 もうちょっと加えますが。

 今はとりあえず、この辺ってことで。

 ドワーフのおっさん達、何か忘れてすっぽかしてしまいましたね、このまま状況説明しないでぱっと出すと、アンデットとかたまったもんじゃないので、どうにか丸く収めたい。

 

 今回は盛り上がりを意識して、何かMADにしたらカッコ良くね?

みたいなシーンを目指しましたが、どうしても台詞と説明多めになってしまう、難しいですね。


 このあと、スピンオフで彼女テレンダについて大きく振れてから、


第2章:王都歓楽編 に入っていきます!!


我ながら、ここまで書き進めることはなかなかないモノで。


ありがとう、夏休み、さようなら夏休み。

学校始まるけれど、感情的に頑張っていくつもりなので。どうか応援、よろしくお願いいします!


以上です!!

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