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27.アピール

私は、この前の発言をとても後悔していた。

確かに「リオにはもっと社交性を身に付けてほしい」と、そう願った。しかしシーアに興味を持てなんて、一言も言ってない!


おかしいとは思っていた。

授業の合間の時間、私のクラスにシーアが顔を覗かせていたのだ。圧倒的な存在感を放つ彼女に、注目したくなくても目が行く。

彼女は小走りで教室に入ると、攻略キャラであるミルカ様に話しかけていた。

会話内容は、他愛も無いあいさつ程度で、時間にすれば二分ぐらい。ミルカ様は持ち前の人当たりの良さで対応していたし、何とも思っていないだろう。しかし私は注目せざるを得なかった。


本来のミルカルートの出会いは、放課後の教室だ。

ミルカがひとりで親からの手紙を読み、その内容に怒って手紙を破く。それをヒロインが目撃するところから始まる。

それなのに何故、ここで自己紹介をしているのか。

ここはゲームの世界だが、人が生きている現実である。ゲーム上では描かれないところも多いからだろうか。そう考えないと、腑に落ちなかった。


問題が起きたのは放課後。帰宅するために、リオと一緒に正門へ向かっているときだった。

「ごきげんよう、レナード様」

「あぁ」

私たちを追い越して行ったシーアが、リオに話しかけたのだ。

まず、隣に寄り添っている私を無視したことに驚いた。まぁ、姿が見えなかったとか、自分より身分の高い人にもキチンと挨拶をすることを知らなかった、とかどうとでもいい訳がつく。

もっと驚いたのはリオの態度。いつもなら誰かに話しかけられても無視していたのに、なぜ返事をしたのか。


「あの子と知り合いなの?」

「今日、俺のところに挨拶に来たんだ。前、クレアが他人に興味を持てと言ったのを思い出して実践したんだが」

どうだ、と言わんばかりに胸を張るリオ。私が言ったのはそういうことではない。

もっと殿下や公爵家、侯爵家とかと密になって欲しいのに。光属性とはいえ市民の彼女に愛敬を振りまいても、貴族の間ではそれほど役に立たない。それにリオは知らないから強くは言えないが、相手はヒロインである。


この遣る瀬無い気持ちを怒りの拳にして、リオの腕を殴ってやった。もちろん手加減はしている。

「痛っ……なんだ?何を怒っている?」

「別に」

「それが何でもない態度じゃないだろ」

「……リオは嫉妬したら怒ってもいいのに、私が怒ったらダメなのね」

口をへの字にしてむくれていると、リオは嬉しそうに笑っていた。

「心配するな、俺にはクレアだけだ」

「本当?」

「あぁ、もちろんだ」

「だったら、許してあげる」

そう上から目線で微笑むと、リオは私の頬にキスを落としてくれた。


……あぁ、恥ずかしい! 自分でやってて羞恥心に耐えられなくなる!

今のやりとりに嫉妬したのは嘘ではないが、私の中では怒るほどの事ではない。

普段なら、素知らぬ顔をして流すのだが、相手がシーアだったら話は別だ。

これで怒るんだ、ということをリオに分からせないと、大惨事になる。羞恥心なんか構っている場合じゃない。


仕方ない。頑張れ、私。


それにしても、リオのところにも挨拶に来ていたとなると、わざと攻略キャラの元を回っている……? 一体どういうつもりなのか。全く行動が読めなくなった。


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