今日の天気は(3編)
【今日の天気は】
創作#タグ(@sousaku_hashtag)様より
#今日の天気を小説風に紹介する
初出:novelist様『ツイッター140字ss』(2015-03-24~2017-08-03)
【今日の天気は・1】
「明後日には雨が降るらしいよ」
きみが言う。
「桜も終わりだね」
僕はきみにならって空を仰ぐ。
薄曇り。いや今ならちょっと気取って花曇り、と言うべきかもしれない。
「桜が溶けていく色だ」
そんな言葉が笑えないほど……空は、薄い桃色。
【今日の天気は・2】
空の青。木々の緑。建物の白。
遠くに見える桃色は今の季節限定。
「上々天気だ。こんな日に部屋にこもってるなんてもったいないよ」
きみはそう言うけれど。
「行こう」
ごめん。
僕は、その手をとることはできないんだ。
【今日の天気は・3】
天気予報は晴れると言っていた。それなのにこの重苦しい空はなんだろう。
ぽつり。
ぽつり。
落ちてくるのは空の涙かもしれない。去って行ってしまった春を惜しんでいるかのように。
……でもね、葉っぱの季節も良いものだよ?
空を仰いで、僕は駅へ走る。
【今日の天気は・2】、わかりづらいですね。
「僕」を引き籠りととらえても、幽霊ととらえても(「きみ」は死んでいることを知らない)、そのあたりは読み手様にご一任します。