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雨/一緒/最後の夏
#雨という文字を使わずに雨が降るを文学的に表現してみろ 【雨】
#君・僕・悪で文を作ると個性が出る 【一緒】
#君・夏・言葉で文を作ると 【最後の夏】
より
なろう様初出:2017/08/03 10:05
【雨】
鈍色の空から落つるものを涙に例える者は多かろう。
一筋、少女の頬を伝うものに。
声を押し殺してただはらはらと零れるさまに。
全てを拒絶する慟哭に。
そして今、私の世界をゆっくりと覆ってゆくそれは
如何様に例えるべきであろうか。
【一緒】
「きみも」
月を背にきみは立つ。口元が嗤っている。
「きみも僕のことが悪いって言う?」
両の手を朱に染めて。だけど目は嗤っていなくて。
「僕は、」
さよならなんだよ、と唇が動く。
「僕は思わない…っ!」
落ちるなら、一緒だ。
【最後の夏】
「君との夏もこれが最後だね」
君は笑う。
背後で逃げ水がゆらりと揺れる。
「それでいいのかよ」
「いいも何も、その為の命なんだから」
龍神の嫁だなんて、要するに人身御供じゃないか。
なのに。
一緒に逃げよう。
その言葉は喉に絡んだまま出てこない。