背中/僕のために/猛暑のチョコ
【背中】
【僕のために】
#夏だしホラーBL考えようぜ より
【猛暑のチョコ】
壊れかけ/お題bot(@odaidai_bot)様より
【三題噺】三秒前/チョコ/布
初出:novelist様『ツイッター140字ss』(2015-03-24~2017-08-03)
【背中】
「暑いね」
背中に重みを感じる。
こいつと何時頃からこんな関係になったのか定かではない。
思い出すのはちらつく雪を見ながら温もりを求めて肌を重ねたことだけ。
「そう言うなら涼しくしろって」
冗談まじりに言うと、ふいに重みが消えた。
濡れた背中が冷たかった。
【僕のために】
あなたの綺麗な目が好きだよ。
だからその目が僕以外の誰かを映すなんて許せないんだ。
その少し掠れた声もいいね。
その声で僕にだけに愛を囁いてよ。
その冷たい手も滑らかな肌も、僕が触れるためだけにあるんだ。
そうでしょ?
……あぁごめん。
もう、何も言えないか。
【猛暑のチョコ】
お口で溶けて手で溶けない。
そんなキャッチフレーズのチョコも猛暑には耐えられなかったらしい。
ついさっき、ほんの三秒前迄は無事だったのに。
味は一緒だよ。
チョコを包んでいたハンカチの布を舐めてきみは笑う。
チョコよりずっと甘い笑顔で。




