表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/35

「使用人達は誰も彼女に心当たりはないみたいね 」


母がベッドで寝息を立てる翠髪の少女の髪を撫でる。


昨日あの後、少女を私の部屋に運び込んで私のベッドに寝かせ。

朝になるの待ってから私は両親に彼女の事を報告する。

直ぐに両親は執事に命じ、家に仕える人間や警備の者に心当たりがないかを探させたのだが。残念ながら誰も彼女の素性を知る者はいない様だ。


「戻ったよ」


「おかえりなさいませ。貴方」


扉がノックされ、どうぞと返事すると父が部屋へと入って来た。

父は母の元までやって来ると、人目も憚らず口付けを交わす。

相変わらず熱々だ事。


こんな姿、ラーには見せられないわね。

と、思っていると。

父から少し遅れてラーが室内に入って来るのが目に入った。


「ラー、貴方連休中じゃあ?」


私は思わず立ち上がって彼へと声をかける。

彼は4連休の最中で、明日まで休みの筈。

だからこそ私は堂々と侍女達への聞き込みが出来ていたのだが。


「何やら不審な人物が邸内に侵入したと耳に挟みましたので、そんな折に休んでいる訳にもいかないと思いまして」


「王宮の件でもバタバタしているんで、助かるよ。ラー」


「ええ本当に。でも、こんなに小さなレディーを不審人物呼ばわりするのはどうかと思いますけどね」


「これは失礼を致しました」


母は小さな子供が大好きなので、ベッドで眠る幼い子供を不審人物呼ばわりしたラーをしかりつける。その辺りを熟知しているラーにしては珍しいミスだ。

とは言え、ラーからすれば休日を返上してやってきたら叱られたのだから、堪ったものでは無いだろう。


「それよりお父様。宮殿での確認の方は?」


「ああ、やはり違ったよ」


そらそうだ。

こんな小さな子が王宮への襲撃犯なわけがない。


実は昨日、王宮へ侵入した物がいたのだ。

賊による被害は警備の者が何人か負傷した程度で、大きくは無いが。

警備の厳重な王宮へと誰かが侵入したのだから、当然大騒ぎだ。


私の家にも、朝一でその知らせは届いた。

その際侵入者が女性であったと伝えられた事から、念の為父は彼女の事を王宮へと報告に向かっていたのだ。

無いとは思うが、万一の事も考えて。


「髪の色は彼女と同じ緑色だったらしいが、侵入した賊は成人女性だったらしい」


「だから私は一々報告なんていらないと言ったじゃないですか」


母が珍しく父に噛みつく。

基本的にな仲良しべったり夫婦なのだが、事子供が絡むと母は頑固な一面を覗かせる。


「すまんすまん。だが万、いや兆が一にでも襲撃犯であった場合、不味い事になるからね」


父の言う通り、王宮襲撃犯をこの状況で報告もせず匿っていなどしようものなら。

例え知らなかったとしても、下手したら御家取り潰しだって十分ありえる。

父の立場からすれば、絶対違うと確信があったとしても、報告は絶対にしておく必要があった。


「それで?彼女の事は何か分ったのかい」


「いいえ、それが何も」


警備の厳重な我が家の庭に入り込み。

しかも全裸で気絶していた少女。

果たして彼女は何者なのだろうか。


「目が覚めるまでまって、本人に話を聞くしかないようだね」


「でしたら私の方で、彼女の寝床を用意させていただきます。ここはお嬢様の部屋になりますので……」


「あ、気にしなくていいわよ。ぐっすり寝てる様だし、動かして起こしちゃったら可哀そうだもの」


「いや、しかし……」


ラーのいう事は尤もだ。

令嬢のベッドに、子供とは言え見知らぬ人間を寝かすのは、貴族としては余り褒められた行動では無いだろう。

だが私は彼女の事が気になって、そのままにする様彼へと伝える。


「それにもうずっとここで寝てるんだし、今更部屋を変える意味も無いんじゃない?」


「お嬢様がそう言われるのでしたら……」


ラーは渋々承諾する。

わがまま言ってごめんね。


「ラー、少し手伝ってくれないか?」


父が立ち上がりラーに声をかける。


「逃げた賊の捜索に我が家も人員を割くことになってね。その振り分けを手伝って欲しい」


「畏まりました」


そう返事すると、ラーは部屋から出ていく父の後ろに付き従う。

だが気のせいだろうか、その横顔は少々険しく見える。


大好きな母に怒られてしまったせいかしら?

だとしたら落ち込まないと良いんだけど。

まあその辺りは私ではどうにもならないので、ドンマイと心の中で応援しておく。


頑張れラー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ