現状維持
「う、ここは……」
ペペロン王子が意識を取り戻した。
そして上半身を起こし、首の辺りを押さえてコキコキ鳴らす。
「何か首筋に……」
「申し訳ありません王子様!魔具が暴走して、それで私驚いて放り投げてしまったんです。それが王子様に当たってしまって……」
まあ実際は延髄に蹴りをかましたわけだが、あの視界では受けた王子本人も良く分かっていないはず。詳細に思い出されて違和感を感じられるより早く、私の言葉で王子の意識を誘導する。
「…………」
「あの……王子?」
王子はじっと私を見つめ、固まっている。
まさか蹴りが見えていた?
いや、あの視界ではそれは無いはずだ。
じゃあなんで……
そこまで考えて答えに辿り着く。
あの呪いだ。
呪いが解けた事で王子の身に異変が起こった。
そう考えれば納得いく。
ひょっとしたら、あの目にかけられていた呪いが王子の意識をも蝕んでいたのかもしれない。
視界への呪いが頭に直接影響するなど聞いた事は無いが、あれは私の知らない呪いだった。
そう言う効果があったとしてもおかしくはない。
つまり王子は正常に戻ったという事だ。
それつまり、私を――――
「ペペロン王子……」
罵られるのを覚悟で顔を近づける。
寄るなブスの一言が聞ければ、想定とは違う流れだが概ね成功と言えるだろう。
あれだけ好き好き言われていた相手にブス呼ばわりされるのは少々堪えるが、まあ我慢しよう。
すると王子の手が真っ直ぐ私へと伸びる。
一瞬髪でも掴まれるのかと思ったがそんな事はなく、王子の手は私の首に回され。
そして力強く抱きしめられた。
「怪我がなくて良かった」
「え?」
怪我?なんの話?
ひょっとして心配してくれた?
まあいきなり水蒸気に包まれるという意味不明な事態だったのだ。
ブスと毛嫌いしていても一応女なのだから、一緒に居た私の事を心配してくれてもおかしくはないだろう。
でも普通気に入らないブスを抱きしめたりするだろうか?
「お前に何かあったら俺は生きて行けない」
「え!?王子!?!?!?」
王子が私を更に強く抱きしめる。
その温もりがとても嘘だとは思えない。
という事は王子の脳の異常は収まってないって事?
じゃあさっきの間は?
まったく意味が分からない。
でも……本気で心配されて、少し嬉しいかも……
あの呪いは何だったのかとか、王子の脳に異常がないにもかかわらず何故様子がおかしいとか、色々と疑問は残るが。
今は只、少しだけ王子の温もりを堪能させて貰おう。
ちょっとぐらいいいよね?
「うんっ!ううん!おほんっ!!」
全然良くなかった。
混乱していたのと、状況に浸っていたのとで完全に忘れていたが。
ここは衆人環視の真っただ中だ。
数十人の視線が私達を捉えている。
「きゃっ!」
恥ずかしさから思わず王子を突き飛ばしてしまう。
しかも思わず魔力を込めてしまったせいで、王子は盛大に吹き飛んでしまった。
「お、王子!?」
周りの従者や護衛が慌てて王子の元へ駆け寄る。
軽く3メートルは転がって行ったのだから当然だ。
私も急いで立ち上がり、王子の元へ向う。
だが王子の手前で護衛の人間に止められてしまった。
まあ蒸気出したり王子吹き飛ばしたり。
そらまあそうなるわよね。
仕方ない。
「おい!彼女に失礼な真似をするな!」
王子に怪我は無かった様で、すっと立ち上がり。
護衛を押しのけ、目の前に立って嬉しそうな笑顔で私の髪を撫でてくる。
「良い突っ張りだ。流石俺の花嫁だけはある」
花嫁と突っ張りに一体何の因果関係が?
そんな事を考えつつも、兎に角私は王子に頭を下げるのだった。
因みに魔具瓶は倒産した国外メーカーの物を使用していたので、その事で誰かが責任を取って首を飛ばされたりはしていないのであしからず。
タイトル変えたらPVが半減!
やっぱタイトルって偉大だなぁ。
という事で元に戻します><
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