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恋話

「きゃー!ごめんなさーい!」


「ひゃー!すいませーん!」


新しく入ったハム・サラダは元気だ。


「ひー、ごめんなさーい!」


そして不器用だ。


有り余る元気と不器用さが手を組むとき、ミスの嵐が大発生する。

いやもうそれはびっくりするほどに。

不器用だからミスをして。

元気だから必死になってカバーしようと努力するが、不器用だからそこで更にミスをする。完全に悪循環状態だ。


因みに今の3連発の叫び声は、まず右手の皿を落とし、落ちたそれを咄嗟に拾おうとして左手の皿まで落とし、慌てて掃除道具を取りに行こうとして転んで他の侍女へ突っ込んだトリプル役満の叫びだ。ここ迄来ると最早芸術的ともいえる。


「彼女、余りこういう仕事は向いてないみたいね」


「確かに、向き不向きで言うならばそうでしょう。ですが彼女には諦めないひた向きさがあります。直ぐにはとは申しませんが、その情熱が失われない限り、彼女は必ず一流の侍女になるかと思われます。ですので、今は温かい目で見守っては頂けませんでしょうか」


私が苦笑い気味に出した言葉に、ラーが真剣な表情で彼女を庇う発言を口にする。

別に本気で彼女を不快に思っている訳では無く。

ちょっと冗談で出した言葉なのだが、そう真剣に返されると私が凄くいけずな発言をしたみたいになってしまう。


って、私は軽い気持ちで言ったのだが。

周りから見たら、今のはいけずに聞こえてしまう内容だったのかもしれない。

今後は気を付けよう。

私は別に悪役令嬢と目指してないのだから。


「そうね。彼女は本当に頑張ってくれているもの。初期の失敗なんて必要経費みたいなものよね」


「ええ、どうかご期待ください」


ラーにっこりと微笑む。

彼の笑顔は毎日の様に目にしているが、こんな優しい感じがする微笑みは初めてかもしれない。あれ?これはひょっとしてひょっとしちゃう?


まあ彼女は凄く可愛らしいし、ラーも健全な男子なのだ。

だから恋のひとつや二つぐらいしてもおかしくは無いだろう。

この甘い笑顔を独占できなくなるのは少し寂しいが、私は2人の恋を応援してあげようと思う。


人の恋路など気にしている場合ではないのだが。

自分の恋を諦めている以上、他人の恋に首を吊っこんでその顛末を見届けるぐらいの楽しみがなくっちゃやってられないもの。

ラー達だって応援してもらった方が嬉しいに決まってるのだから、これって完全にwin-winよね。


「お嬢様、その悪だくみしてそうな笑顔は如何なものかと思われますが?」


あらやだ。

顔に出ちゃってたみたい。

しっぱいしっぱい。


拳でおでこをこつんとして

舌をペロッと出そうとしたが止めておいた。

可愛い子がやる分には良いが、ブスがやると不快指数MAXを叩きだすのは目に見えている。

これはブスにとっては禁忌と呼ぶべき所作なのだ。


まあそんな事はどうでもいい。

後で浴場の係を彼女に指名して、ラーのいないところで根掘り葉掘り話を伺うとしよう。

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