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地球とは関係の無い話  作者: 冬不純黄昏
壱章 私と彼女とこの物語
31/66

(30話)一章の終盤と

 9月14日に公園で予言の話をしてから、もう3日経つ。

15日は何かの祝日で、そのまま16、17日の土日へとコンボを(つな)げて3連休。

「はぁーー…」

 もう3日も外を出ていない。外は愉快(ゆかい)に晴れていたが、主人公とその周りは愉快(ゆかい)に笑っている場合ではなく、遊べるような雰囲気じゃなかったらしい。彼女自身、遊ぶ気もないし、遊ぶ気力もない。

 そういうことなので、ずっと自分の部屋に引きこもっている。意味もなく携帯電話をパカパカと開けたり閉じたりしている。秋野も、この行為に意味はない…と分かってはいたものの、なぜかこの行為をやめられない。なぜかって、心のどこかで意味を求めているからだ。

 9月16日は秋野の誕生日だった。大変な時だってのは彼女が一番分かってはいるが、女子中学生が自分のお誕生日のお祝いメールの一つくらい望んでも罪にはならないだろう。

「…あ、メール」


「ふー…」

 複雑な気持ちだけど、金田からメールが来た。件名は『一日遅れだけど、誕生日おめでとう』というもの。

しかし内容は誕生日を祝うものは4…いや3割。残りの7割が、明日のことについてだった。

 それでも、誕生日を祝ってくれた。覚えてくれてたんだな…。母さんとは大違いだ。…ま、目が覚めたよ、(ゆず)。ありがとう。

少し(ゆる)んだ顔を携帯の画面に見せて、決意を固める。

 数時間後に、機堂からも似たような内容のメールが届く。あの冷静で賢い機堂にしては、なかなか素直な内容のメールだった。

 都市伝説が大っ嫌いな私が思うのもなんだけど、あの機堂(ギーク)が予言を信じるとはねー…。

クスクスと笑うその頃にはもう外は暗くなっていた。



 目の奥が痛むのは、携帯電話の画面を一日中見ていたからだろうか。それともさっきから止まない頭痛のオマケか?きっと頭痛が原因なのだろう。その頭痛は不安から来ている。

こうやって(もと)辿(たど)ったところで、最初から明確(めいかく)だった(げん)(きょう)を再確認するだけだ。目の奥の痛みも、頭痛も、不安も、その不安から逃げろと警告する眠気(ねむけ)も、原因は最初から知っている…



予言だ。



 疲れてんだな、私。…そろそろ寝よう。明日は大事(だいじ)な日だから。大事(おおごと)にならないならそれが一番だが、そうもいかない気がプンプンと(かお)って肺が苦しい。

そう思いながら彼女はもぞもぞと布団(ふとん)で身を(くる)める。

「ふう」

 明日のことについて軽く確認する。

 えーっと…大丈夫だ…落ち着け…。いつも通りに起きて、いつも通りに制服を着て、いつも通りに(かばん)をしょって、家を出て…。家を出たら、あの公園に行く。学校には行かないで。…で、8時半くらいになったらみんな集まるハズ、か。

テストの前日よりも、準備はしっかりしている。

「朝宮ちゃんは通り魔に()される。でも、俺らは朝宮ちゃんからしたら怪しいオッサンだろ?だから、近くで見守ってやることができない。……だから、君たちの協力がいる。近くで見守ってやれ」

 メタ・ステイトの言葉を思い出し、手に力を入れる。

 私が守るんだ…!学校をサボるってのはちょっと気持ち悪いけど、仕方ない。小学校が終わんのは中学校より早いから、下校してるときの(ゆう)()を守るためには、中学校に行かずに小学校の近くにいるしかない…。それに、ふ…、ふぁ〜あ

 あくびが出てしまった。


 そう思えば眠気がある。絶対に緊張しているはずなのに不思議と眠気があった。今なら、どんなに哲学的(てつがくてき)なことを考えようが(むずか)しいことを考えようが、すぐに眠れる気がしていた。


言葉がこの世に存在していなかったら人はどうやって意思疎通をするのだろう。光が存在していなかったなら?音が存在していなかったら?そもそもこの星(サースター)が存在していなかったら?

魔法が存在していなかったら…


「…なんてね」

この時、思い出したように自分が魔法使いであることに気づいた。

 あぁ、私は魔法使いだったな。魔法がこの世界にあってよかった…。

そうして、彼女は自分に魔法をかけて、眠りにつくのだった。


「私の不安を半分に…」


呪文(スペル)(とな)えていないので、効果時間は数秒ほどだった。(そもそも彼女の系統の魔法は効果時間が短いものだったが。)

だが彼女にとっては、最高の効果を発揮してくれた。深い…眠りに……つく………




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