百物語
これから3作同時進行という出来ないことをします。
できなくても見守ってください。
他2作をよろしく!
彼方は物語の始まりは何処だと思いますか
プロローグ、一話目、序章。
いくらでも見つかります。
そのことを頭の隅の隅、端の端、極端の極東。
どこにでもいいですから、そのことを片隅に置いておいてください。
では厚かましく、無礼ながら物語を始めましょう。
零から始まり、百で終わるこの物語を
この物語は私たちと然して変わらない世界の
ただ、魔法が存在している世界のお話、
彼方が知っても零を壱にも満たさないそんなお話。
誰かが言った。
君のことなど十割信じることなんて出来ない。
100厘信じることなんて出来ない。
25両信じることなど出来ない。
だからと言って半信半疑ではまだまだ多いくらいだ。
ならば君の事を三信七疑信用してあげよう。
3と7なんていかにも胡散臭いが
君にこれ以上の君を表す言葉など存在しないだろう。
いや失敬、5も君には似合うね。
一はあまりにも似合わない。
だからこの物語の主人公は君にしてあげよう。
「おはよう。」
俺が挨拶をしても返事などが返ってくるはず無い。
なぜならば、俺が挨拶したのは彼氏でもなければ、彼女でもない。親でもなければ、相手が猫なのだから。
哺乳類、猫科猫目。
いつもゴロゴロしていて、飯の時間にだけは律儀な猫のような、まさに猫という言葉が板についている猫。
猫に猫らしいとか、そんな言葉を使っている時点で俺の精神年齢はおかしいのかもしれない。
こんな憂鬱な朝にはお気に入りのモカを煎って早朝の鬱憤を晴らすことこそ、人間が神様から与えられた唯一無二の至高な喜びだと思う。
だが、そんな楽しみすらも神様は俺から奪っていくのだ。
ならば初めからそんなこと教えて欲しくなかったと思うのだが、一度蜜を知ってしまうと離れられなくなってしまう。神様は余程の捻くれ者らしい。
ドンドン、とモーゼも真っ青な足音がこの優雅な空間を侵しに来るのだと報せている。
モーゼ様には比べるまでもなく心も財源も芳しくない俺は仕方なしにもう一度逃げるためにベットに入り込む。
ついさっきまで俺が居たので(ここは敢えて猫はカウントしてみなかったりする。)温もりが残っており思わず顔が緩んでしまう。
足音が扉の前で止まる。
控えめなノックが俺の部屋の冷たい空気を突き抜けていく。
猫が律儀にも間抜け、いや気の抜けた鳴き声を返すとそれに従ってか、従わずしてか扉の開く音がする。
俺は瞬間的に頭を保護するために両腕で包み込む。
「お兄ちゃぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
くはっ。
俺のことをお兄ちゃんと呼んだ物体はおそらく入り口から飛んで七メートル近く離れているベットに居る俺の鳩尾に朝からにしては重たい一撃を入れてくれた。
「離れなさい、加奈。お兄さんはこれから優雅にコーヒーを飲みながらニュースを読んで世界の変化について知らなければならないのです。」
俺は世迷い人に正しい道を教えるがごとく優しさと慈悲に満ちたイエス・キリスト様も思わず三回転半しそうな微笑みを妹である加奈に向けた。
「なにその口調、全然似合ってないよ。もしかしてあれ、昨日私が『眼鏡に丁寧な口調の大人の人っていいよね。』って言ったから?そんなことしなくても私はお兄ちゃんラブだから気にしなくてもいいよ。まあそんな風に言って・・・」
さて、変な奴は部屋に閉じ込めておいたからのんびりと朝食でも食べようかな。
俺は階段としてはあまりにも急な階段を下りてリビングに向かった。
ちょうどその時トイレから出てきた愛名と眼が合った。
「どうしてあんたがここにいるのよ。」
そんな風に叫ばれても困る。
俺からしたらここは俺の家であってお前がいることのほうが不思議なのだから。
俺のことをまるで不審者扱いしているのは幼馴染の愛名。
家同士は隣ではないのだが両親同士が仲がよく生まれたときからずっと一緒に過ごしてきている。
どちらかと言えば共に育ってきたと表現するほうが正しい。
そして俺は洗面所へのドアを開く。
「なにしようとしてんのよ。」
顔を真っ赤に紅葉させて怒鳴られた。
なんつうか、こいつの声は頭に響くんだよ。
甲高いって言うのか、とりあえずうるさい。
そんなうるさい幼馴染を無視してトイレに入ろうとすると殴られた。
それもビンタでなく、グーで。
「何すんだよ!!!自分の家のトイレに入って何が悪いんだよ。」
顔を真っ赤にしたままもう一発俺を殴り愛名は出て行った。殴るだけ殴って出て行くなよ。
ムシャクシャしながらリビングのドアを開けると鬼のような形相をした加奈が立っていた。
いや、立っていらっしゃった。
はい。
「お兄ちゃん、愛名さんが顔を真っ赤にしながら出て行ったんだけど何をしたのかな?」
右手は神々しいくらいに紅く輝いている。
ここに入ってくるまでに詠唱している様子は無かったから多分愛名に出会ってから準備していたんだと思う。
俺は冷静に状況を考えながらコーヒーを口に運んだ。
何故そんなに冷静で居られるのかだって?そんなの決まっている。
これが俺の日常だからさ。
この会話こそ俺『篠田 夕』の日常なのだから。
これからも見てください




