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つまり、これはただの独り言である



人の変われるのは、本人がそれを望んでいる時だけである。周囲が何をしようが思おうが、本人が変わろうと思わなければ、変わることはない。表面的な話ではなく、その本質のようなものの話だ。

だから、誰かを啓蒙しようなんてのはどだい無理な話だし、徒労である。誰かを啓蒙したいというあなたの話に、真剣に耳を傾ける人がいるとするのなら、それはその人が啓蒙されたいと思っていたからである。あなたの話に人を啓蒙する力があるからではない。

寧ろ、己は人に影響を与えられる高尚な存在であるという思い込みを捨てた方がいい。欲しかった都合の良い言説を得られたので、そこに責任をおっかぶせて利用しようとしているだけである。

人は不思議なことに、本人が主張している話を聞くよりも、こういう話を主張している、という話を聞いた、と聞く方が確かな話のようだと感じる。それと同時に、人から教えられるよりも自分で見つけた方が、それを確かなものだろうと思い込む。そして、いずれにせよ、複数の情報があれば、自分にとって一番都合の良いものを確かなものだと思う。

結局のところ、自分が聞きたい話しか聞いていないのだ。

勿論、僕の話にあなたを啓蒙する力などない。された気になるとすれば、僕の話があなたにとって都合の良い啓蒙をくれる話だっただけである。僕の話は、基本的に僕にしか価値がない。もしかしたら、僕と同じことを考えたり悩んだりする人にはあるかもしれないが、その程度である。そもそも僕は高尚な人間ではない。ただの偏屈な社会不適合者である。

僕は少数派マイノリティである。多数派マジョリティになりたいとは思っていないし、そもそも僕のような人間が多数派になれば人類は滅ぶと思っている。中二病的思考込みで、己が社会不適合だと自認しているのだから当然のことだ。特別ではない。特別とすれば、特別、人として落ちこぼれということだ。社会に求められている人材としては落ちこぼれということだ。

とはいえ、僕はそんな僕を嫌ってはいないし、悪いとは思っていない。社会にとって不都合な人間ではあっても、僕にとって不都合な人間ではないからである。僕にとっても困った人間ではあるが。故に、僕には己を変えようという意欲がない。表面上装っても、内実が伴っていない。だから僕は変わらない。ずっと。

僕は、僕の話が好きだ。僕が僕だから紡がれる言葉たちを愛している。それは多分、僕が変わればもうなくなってしまうものだと思っている。だから、変わる気にならない。社会の都合に自分の都合を曲げさせたくない。

それに、元々、言葉というものは、紡がれる話は、不変のものではない。今の僕の話と、明日、明後日の僕の話は違う。昨日の僕の話も違う。何をするまでもなく、今の僕の話は今の僕にしか語れない。本質は不変でも、表層は流動的である。気分屋なのだ。極端に、短い時間でそっくり返ったりはしないだろうが、長い目で見れば、随分昔とは違う位置に流れているかもしれない。僕は昔のことは忘れる性質なので推測だが。

僕は、己の本質を変える気はないが、現在の自分という総体の維持に固執しているというほどではない。成長アップデートする気はある。技術は磨きたいし、知識は増やしたい。つまり、変化そのものは必要なものとして受け入れている。一部なら啓蒙される気はある。

単純な法則こそ美しいと聞く。僕もそう思う。注釈の沢山ついたルールなんて、聞くだにうんざりだ。それは結局、力のあるものに捻じ曲げられたルールだということである。美しくない。

フェアとは強者にハンデを与えることではなく、弱者に下駄をはかせることである。だが、それは、見方を変えれば、弱者であるということも使いようで力になるということではなかろうか。その良し悪しはともかく。

高度知的生命体など、地球にはまだ生まれていないと言った人があった。僕も賛成である。勿論、己自身さえ高度に知的と言える存在ではないと思う。見渡す限り馬鹿が溢れていると思うのも確かだが。己は頭がいいと思っているのは、大体馬鹿である。頭のいい馬鹿というのも、それはそれで矛盾しない存在ではあるが、馬鹿を馬鹿にするのも大体馬鹿である。つまり、僕もおそらく馬鹿だ。多分、高度に知的で高尚な存在というのがいるとしたら、人でなしで無責任で放任主義なやつだろう。頭のいいやつは無駄なことはしない。人を導くなんて無駄なことはしない。望むことをせざるをえないように仕向けるのだ。




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