第六語 心の壁
皆様、こんにちは、こんばんは。
前の語り部から、随分と時間が経ってしまいましたね。
私の名前を、今一度、紹介いたしましょう。
私の名前は語部と申します。
さて、今回の語り部は、いつもと比べて少し、もどかしさを感じるものとなっております。
人と人との間に出来る、見えない心の壁。
それの厚みは様々です。
その見えない数センチのどこかに、悩みが立ちすさむのでしょう。
それでは、どうぞ。
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「○○さん。バイバーイ」
彼は塾から帰ろうとする友人の女子に手を振りながら、別れを告げた。
友人とは言っても、学校も違ければ、あまり話したりもしない関係だった。
その程度でも、しっかりと挨拶を交わすのが、彼の長所だった。
だけど、彼にも悩みがあった。
それは、ある一人の女子にだけは、「おはよう」も「バイバイ」も言えないこと。
彼女は彼の幼馴染で、彼といる時間は、彼の家族の次に長い。
だから、心の狭間にある壁はとても薄いはずなのに、
今までだって、うんざりするほど話したのに、
何故か言えなかった。
彼から見たら彼女は、
とても身近な存在で、それでいて、本心を見せるのは恥ずかしい相手だった。
彼はもどかしかった。
もどかしさが更にもどかしさを呼んで、抜け出せないほどに。
そんな彼は、彼女のことが大好きだった。
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どうでしたでしょうか?
「恋」とは、このもどかしさの事なのか、
それとも、知らない誰かに一目惚れして、恋焦がれ朽ちること言うのか。
でもきっと、よく知る幼馴染となら、「恋」から「愛」を育みやすいでしょうね。
それでは次の語り部まで、
Au revoir。