真実の果実
【Maybe the truth is that honesty is not necessarily right, and fact is not always true.】
きっと真実って、
「いつも誠実に生きていくことが正しいわけではなく、事実が必ずしも純粋なものを現しているとも限らない」ってことなのかもしれない。
だって正直者が馬鹿を見る。
この世界に転がる事実は汚い。
純粋で汚れのない綺麗なものほど闇に紛れてくもの。
人は嘘の付き方をどこで習った?
悲しいかな、誰もみんな教わる前から知っている。
生きれば生きるほどに上手な嘘を手にしてくのだ。
まるで素晴らしいね。
真実の色は何色?
まだ幼かったあの頃は胸いっぱいに想い描いていたっけ。
透明に透き通っていて、いや眩しいほどに真っ白で、ううんキラキラと輝く色。
一体、真実の本当の色は何色なのだろう?
世界にあるべき真実と、世界が抱える現実と、そこに溢れる事実が何重にも重なっているからこそ、その下には何十億もの真実の果実が埋もれているはずなの。
きっと想う。
初めて真実の果実がなった時、その果実は上にあったんじゃないのか?
きっと一番空に近い場所に、幸せのすぐそばの空高い場所で威風堂々と誇り高く、世界を見ていたんじゃないかって─
汚くて濁っている、嘘にまみれた事実の果実ほどこの世界じゃすくすくと立派に育っていくの。
一体誰がせっせと泥水を注いで、黒く輝く陽の光を与えているのかな。
honestyには正直という意味があって、正直さは誠実であり誠の実は真実の果実。
真実の果実は真の実であって、それはfact、結局事実なのだ。
いつしかこの世界に広がる嘘や泥の現実が事実となり、その事実の果実はやがて真の実となり、果てには真実となるのだろうか。
その頃にはもうきっと、真実の果実は形をなくし、色を捨て、甘さも酸味も苦さもぜんぶ消え、残るは無─
今ならまだ、きっと甘いよ。
どうか踏まずに、見過ごさないように。
真実の果実を見たいと想う。
この手で優しく包みたいと願う。
真実はきっと目に見えない所にある。