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魔王を守る下僕となりて  作者: 絢野悠
英雄の資格 2
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四話

「さて、別のヤツを助けに行くか」


 身体は痛む、疲れも溜まっている。だが今はそうも言っていられない。


 この混乱に乗じて、野心に溢れた勇者が出てこないとも限らない。味方は高レベルの勇者が多い中で戦っているのだ、早く合流すべきだと判断した。


 勇者の魔王たちの群れに身体を向けた。


 その時、背後から強烈な魔力を感じた。


「まさか……」


 ゆらりと、誰かが立ち上がる。誰か、ではない。


「世の中、簡単にはいかないよなぁ」


 白い煙をまとい、ブラッドフォードが立ち上がってきた。


 いつの間にか傷も癒え、見た目には服がボロボロになっているようにしか見えない。


 傷を急速に治しているのだ。あの白い煙が傷を塞いでいるのだ。


「お前と遊んでいる暇はないんだがな」

「遊びのつもりはないさ。ただな、見せしめってのは必要なんだよ」


 完全に回復された。


 もう一度剣を出す。癒えたのは傷だけであり、魔力や体力までは回復していないはずだ。それならばもう一度倒せばいい。


 重心を下げて一歩踏み込んだ。


「遅いな、もう限界か?」


 気がつけば、目の前にブラッドフォードがいた。


 首元を掴み上げられた。


「くっ……!」


 振りほどくよりも前に、右へと投げ飛ばされた。


 宙を飛んで、木にぶつかった。


 顔を上げると、またブラッドフォードが目の前にいる。


「お前のような弱者が、俺に勝てるなどと思い上がるなよ」


 即座に立ち上がって右へとステップを踏む。が、そこでまた首を掴まれる。


「逃げることなど」


 引き寄せられた。


「思わぬことだ」


 腹部に衝撃。あまりにも強烈で焦点が定まらなくなった。


 四つん這いになって腹を抑えた。じわりじわりと体内を侵食するような痛みが広がっていく。


「お前は、どこに向かうつもりだ……」

「どこへ? 決っているさ、勇者の頂きだよ」


 顔面を思い切り蹴り上げられた。


 最後に見たのはブラッドフォードのニヤニヤとした笑顔だった。


 まだダメだと思いつつも、意識は彼方へと飛んでいく。必死に抗うも意味はなく、眼前は黒く染まっていった。


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