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魔王を守る下僕となりて  作者: 絢野悠
英雄の資格 1
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六話

 カレンが帰った後で、今度は自主的に賜法について考えてみた。


 ベッドに座り、勇者デバイスを見つめる。


 そもそも今まで自分のレベルを上げるためだけの魔法や賜法というものを考えたことがなかった。


 俺は従者から勇者になった。けれど心まで勇者になったわけじゃない。エイブラムが背中を見せれば、いつだって従者に戻る覚悟はある。けれどそれは今じゃなくて、今はただ耐えるのが正解なんだ。


 それにはなにをした方がいい。俺はなにをやったらいい。


 エイブラムの言うことは間違っていないのかもしれない。鎮事府が黒幕で、俺たちはヤツらに踊らされているだけなのかもしれない。


 しかし、それとセレスを裏切っていいかどうかは別の話だ。エイブラムの言うことが実は間違っていた、という可能性だって少なくない。


 それならやることは一つ。いつでもセレスの元へと帰れるように。エイブラムが間違っていた場合に戦えるように。


 ひたすらにレベルを上げて、ひたすら賜法を練度を上げる。それだけじゃない、エイブラムやその他勇者の賜法や戦闘スタイルをしっかりと把握することが大事だ。


 勇者たちの賜法なんかはカレンを使えばなんとかなるだろう。他の勇者と連携することもあるから、とかなんとか言えば教えてくれそうだ。


 問題はこっちだ。


 レベルが低いのは俺の怠慢だ。が、これから急激なレベルアップとなるとどれだけの努力が必要になるか。


 人よりも時間の特性に恵まれた。だからこそできることがあるし、そうでなくてはできないこともある。


「時間、か」


 そうつぶやいてから天井を見上げた。


 一ヶ月後、アイギスのメンバーが鎮事府へと向かう。四つの大陸の中央、鎮事府、セントラルレリック、中央大陸、秘境。言い方は様々だが、一般人も魔王も勇者も近づかない、そんな場所だ。


 つまりその一ヶ月でどこまでやれるのか。


 頭が痛くなってくる。やれることなんてそんなにない。そんなにないからこそ、なにをしたらいいのかが重要になってくる。


 頭を抑え、俯いた。


 目を閉じればセレスの顔が浮かんでくる。しかし、セレスは笑っていなかった。伏し目がちに涙を流していた。


 彼女にそんな顔をさせたくはなかった。いや、もうそんな顔をしているのかもしれない。


 だったら俺がやることは一つしかない。


 彼女や、その眷属たちに暗い顔をさせないこと。それだけでいいじゃないかと、そう思った。







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