プロローグ
はじめまして。
このサイトで二度目の作品です。
どうか暖かく、できれば長い目でみてやってください。
巨大な金属な塊。
よく全体を見なければそれがとても大きな精密装置であることは気づけないだろう。
周りには多くの白衣を着た科学者らしき人が多くいた。
しかし、それ以外にも白衣を着ずにまるで魔法使いのロープのようなものを着込んでいる者が科学者と同じくらい神妙な顔つきで巨大な装置を見上げていた。
秋葉原のコスプレも真っ青の完璧ぶりである。それを咎める人が一人もいないのは誰がみてもおかしいだろう。
普通ならば
「そろそろか……」
白衣の男が言うと同時に巨大な装置の中心が青白く光りながら、回転していった。
青白い光はその輝きを増しながら徐々に加速していき、美しい光を見せていった。
「いやった! 成功だ!」
科学者たちが抱き合う。ロープを着たものたちもそれぞれが喜びの抱擁を交わしていた。
その中に一組の白衣の男女とロープを着た男がいた。
するとロープの男が男女に話しかけた。喜びのせいか、目頭が赤くなっている。
「君のおかげだ。いくら礼をしても足りないよ。信吾、真奈美さん。」
「なにを言う。この成果のほとんどはヘェラル、君のおかげじゃないか。」
信吾と言われた男が言葉を返すと、真奈美と言われた女も目を潤ませながら言う。
「ええそのとおりです。ヘェラルさん、あなたは……最高の科学者です。誇りを持ってください。
あなたがしたこととに比べれば、夫がやったことなど一ミクロンもありません。」
そう言うと信吾はあたりを見回して、
「それって俺のことかい?」
「あら、あなた以外のどこに私のダメ亭主はいるのかしら?」
「ウッ。勘弁してくれ。いつか料理は作れるようになるよ。」
「いやよ。あなたがキッチンに立つと爆発するんですもの…………息子にはきちんと料理を教え込まないとね。こんな夫が二人もできたら大変よ。」
「我が息子よ……不憫だ。」
「なによ、それ!」
三人は笑い、ほかの研究者たちも笑いあっている。まさに喜びにあふれた瞬間だった。
しかし、その中に赤く充血した目を憎しみの炎にたぎらせた男がいたことにきずく者はいなかった。
その男は巨大な青白い光を放つ装置の影に消えていった。
すると、突然青白い光は急かされたように急な加速をして、光の色が黒々しくなっていく。
……それは例えるなら、美しい花が病に冒されながら枯れていくようであった。
研究者たちが異変にきずき、あわて始めるが、時すでに遅し。
もう漆黒と言っていいほどに黒く染まった光は中から異形としかいえない怪物を生み出していく。
牙や爪を体中に持つ者、口を軽く五十は持つ者、毒を吐く者、奇妙な光を出す者…………。
いうなればそれは悪魔と形容するにふさわしかった。
もう先ほどまで部屋を包んでいた幸福感は微塵もない。研究者たちは我先にと駆け出していく。
悪魔たちが追ってくる中、ヘェラルは確かに装置の方角から低く冷たい笑い声を聞いた。
これは我々の世界とは別の世界の出来事。しかし、この事件は後に二つの世界を巻き込む戦いとなる。
そして事件から十年後……
如何でしたか? ちょっとでも興味がでたなら幸いです。
次は主人公が出るので(当たり前だ)是非、次回もよろしくお願いします。