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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
突然のキス⁉揺れる心と決意

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第91話 噓ひとつ

「……なぁ」


 唐突に声をかけられ、咳き込んだ。

 ミルクが変なところに入ったらしい。


「大丈夫かよ。ほんとに唯はしかたない奴だな」


 兄が笑いながら、背中をさすってくれる。


 うぅ、情けない……。

 その手の温度にすら、ドキドキしてしまうなんて。


 私が落ち着いたところで、兄が静かに口を開いた。


「今日さ――悪かったな。加奈が、おまえに嫌なこと言って」


「え!」


 思わず目を剥いた。

 どうして知ってるの!? あの場所にいたの?


「……ごめん。見てたんだ。止めようと思ったんだけど、流斗が来たから出て行きづらくて」


 兄は気まずそうに笑い、視線を逸らした。


 見られてたんだ……。恥ずかしい。

 え、ってことは――流斗さんとのあの場面も!?


 息を呑んで兄を見つめる。


「加奈のこと、本当に悪かった。あいつ思い込み激しくて……。

 ちゃんと俺から言っとくから」


 兄はまっすぐに私を見つめ、真剣な顔で頭を下げた。


 いろんなことが一気に押し寄せて、思考が追いつかない。

 戸惑いつつ、私は慌てて手を振った。


「ううん、いいの。加奈さん、お兄ちゃんのこと大好きなんだよ。

 だから……大切にしてあげて」


 胸がきゅっと痛む。


 ……なに言ってるんだろう、私。


 本当は――

 加奈さんが羨ましくて、たまらないのに。


 熱くなった目元を隠すように、そっと顔を背けた。


「唯、どうした?」


 兄が心配そうに覗き込んでくる。


「ううん、何でもないよ」


 なんとか微笑んでみせると、兄もまた優しく笑い返した。

 ――けれど、次の瞬間。


 その笑みがふっとかげる。


「なぁ、唯。おまえ……本当に、流斗のこと好きなんだよな? うまくいってるのかよ」


 ドクン、と心臓が跳ねた。


 核心を突く問い。

 お兄ちゃんにだけは聞かれたくない。


 だって、本当に好きなのは……


 本当の気持ちなんて、言えない。

 言えるはずがない。


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