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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
運命の体育祭

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第88話 鼓動が、追いつかない

 ぼんやりと踊る姿を眺めていると、兄が不満そうに口を開いた。


「おい、俺にだけ踊らせるのか? おまえも踊れよ」


 そう言いながら近づいてきた兄は、私の右手を取り、もう一方の手を腰に回してくる。

 まるで社交ダンスのような体勢になった。


 体がぴたりと密着して、心臓が一気に跳ね上がる。

 ひ、ひえー……ドキドキが止まらないっ。


 でも、嬉しいかも。

 ひとりでほくそ笑んだあと、ふと疑問が浮かび、口にした。


「お兄ちゃん……社交ダンス、踊れるの? 私、踊れないけど」


「は? 別にいいだろ。おまえは俺に身を任せてりゃいいんだよ」


 兄はそのまま、適当なリズムで踊り始める。

 それは社交ダンスでもなんでもなくて、きっと思いつき。


 でも、自然と引っ張られていく。


「もう、なにそれ……」


 可笑しくなって、笑ってしまう。

 兄もつられるように笑顔を見せた。


「やっぱ、おまえといると楽しいわ」


「えっ……?」


 その瞬間、兄の動きが止まった。


 しまった、という顔。

 今の言葉は、言おうとして言ったわけじゃなく、口からこぼれたもの……?


「おにい、ちゃん?」


 じっと見つめれば、兄も真剣な目で私を見返してくる。


「あの……さ」


 何かを言いかけたそのとき――


「うっ……」


 胸がぎゅっと締めつけられるように苦しくなる。

 発作だ。


「おい、大丈夫か!?」


 兄がすぐに私を支える。

 その胸にすがるようにしがみつき、苦しさの中で必死に声を絞り出した。


「だ、だいじょ……ぶ。い、つもの……発作、だから……」


 心配かけまいと笑おうとするけれど、うまくいかない。


 そのとき、兄の腕がためらいなく私を引き寄せた。

 ぐっと胸の中に抱き込まれ、背中に回された手が強く支える。


 驚きで息が詰まりそうになる――けれど、それ以上に発作の苦しさが勝ち、意識はそちらに引きずられていく。


「はぁ……っ、はぁ……」


 荒い呼吸と高鳴る鼓動。

 揺れる視界の中で、私はただ兄の温もりに身を委ねていた。


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