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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
運命の体育祭

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第85話 二人のためのレース

 そして、とうとうその時がやってきた。


 これが、体育祭最後の種目。


 私の視線の先には、出番を待つ兄と流斗さんの姿があった。

 すぐに二人が呼ばれ、それぞれのレーンへと向かっていく。


 今日はやけに同じ種目に出ることが多い気がするけど……気のせい?


 一緒に出られると、どっちを応援したらいいか迷うからやめてほしい。


 ……いや、ここは流斗さんだよね。

 彼氏だし、さっきも助けてくれたし。当然だよ、うん。


 そう思うんだけど、気づけば視線は兄を追っていた。


 二人は隣り合いながらも、互いの顔を見ることはない。

 ただ、まっすぐ前を見据えている。


 静かな気合が伝わってきた。


 張り詰めた空気。今日はずっとこんな感じ……なぜ?


 そして、係の合図に合わせて二人がスタートラインに立った。


「よーい……」


 全員が構える。


 ――パンッ!


 スタートの合図と同時に、二人は勢いよく飛び出した。


 見る見るうちに、他の選手を引き離していく。

 完全に二人の独走状態だ。


「は、速っ……!」


 隣で蘭が感心したように声を漏らした。


 私も唖然とする。

 運動神経がいいとは知っていたけど……めちゃくちゃ速い。


 風を切るような速さだ。

 目を離すことも、瞬くことさえも忘れていた。


「頑張れ……頑張って」


 無意識に、小さくこぼれ落ちる。


 まただ。今、どっちを応援してるんだろう。

 心の中で問いかけてみるけど――やっぱり、わからなかった。


 ……きっと、どっちもだよ。そう、きっとそう。


 流斗さんがわずかにリードする。

 けれど、すぐに兄がその距離を詰めていく。


 今度は兄が一歩抜け出し、次の瞬間には流斗さんが並ぶ。


 息を呑むような攻防。


 うー、手に汗を握るとはまさにこのこと。


 そして、徐々に兄が前に出る。

 流斗さんとの距離が、少しずつ開いていく。


 流斗さん……。


「流斗さん! がんばってー!!」


 思わず叫んでいた。

 無意識だった。

 彼がさっき私を助けてくれたことが、胸に残っていたのかもしれない。


 その瞬間、流斗さんのスピードが一気に上がった。

 兄との差をぐんぐん詰めていく。


 追いついた……いや、追い抜いた!


 気のせいか、兄の動きが少し鈍ったような?


 そのまま、流斗さんが一着でゴールイン。

 お兄ちゃんは二着だった。


「すごかったね。二人のためのレースって感じだった」


 蘭が興奮冷めやらぬ様子でつぶやく。


「……ところで、優くんはどうして流斗さんを応援したの?」


 なぜか探るような視線で私を見てくる。


 しまった。試合に夢中で、蘭が隣にいることを忘れてた。

 私は目を逸らしながら答えた。


「うーん、なんとなく……変かな?」


 問い返してみると、蘭はにっこり笑った。


「ううん、流斗さんって優しいもんね。応援したくなる気持ちわかるよ。

 もし優くんが出てたら、私は優くんを応援してた」


 そう言いながら、蘭がまた少し距離を詰めてくる。

 私はじりじりと間合いを取るようにして、苦笑いを浮かべた。


 ほんと、蘭のこの積極的な姿勢。尊敬するよ。


 私も、こんなふうに“好き”をさらけ出せたなら……って、何考えてるの!?


 試合は、もう終わったんだ。

 早く、流斗さんのところへ行かなきゃ。


「おめでとうって、言わなきゃ……」


 私は足早に、彼のもとへ向かった。


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