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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
ひみつの恋ごころ

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第5話 恋心フラグ

「おっはようー、唯!」


 教室に入るや否や、羽鳥(はとり)(らん)に抱きつかれた。


「おはよう、蘭」


 私が微笑むと、蘭は長く艶やかな黒髪をふわりと揺らし、きらりと輝く瞳で嬉しそうに目を細める。

 通りすがる男子たちが、彼女の方へちらりと視線を向けていった。


 まあね……蘭は綺麗だから。


 プロポーション抜群で、女性らしい曲線を描く身体。そこに加わる程よい色気。

 女の私でさえドキッとしてしまう瞬間があるほどだ。


 同性から見ても魅力的な女性――羨ましい限り。


 私なんか、兄から「色気がない」ってよくからかわれているのに。


「ねえ、この前貸した漫画どうだった? あの男の子、よくない?」


 また始まった、と小さくため息をつく。


 蘭は生粋のオタクだった。

 漫画やアニメ、とくに少女漫画が大好きで、いつも何かしら語っている。

 以前なんて、漫画に登場する王子様みたいなキャラクターを指して「こんな人と恋に落ちるんだ」って堂々と宣言していた。


 今のところ、その理想の男性は現れていないようだけど……。


 そのせいか、蘭は誰とも付き合ったことがない。


 すごくモテるのに、現実の男たちにはどこかクールで距離を取っているように思う。

 理想を決して崩さないその姿勢は、ある意味すごい。


 ただ、兄に対してだけは、蘭の様子が明らかに違った。


 兄の前だと、まるで乙女みたいに恥じらって、声もワントーン高くなる。


 問いただしたとき、蘭は「憧れよ。好きとかじゃないから」と笑っていたけど――。


 その言葉に、私は内心ほっとしていた。

 だって、蘭が相手じゃ……正直、勝ち目なんてない。


 それに、彼女は私の親友だ。

 好きな人のことで気まずくなるなんて、絶対に避けたい。


 まあ、私のこの気持ちは誰にも言っていない。

 蘭だって、気づいていないはず。


 ……でも、だからこそ願ってしまう。

 早く、蘭にも理想の王子様が現れてくれますように、って。


 そんな願いをそっと胸の奥にしまい込み、私はいつも通り、蘭とおしゃべりに興じる。


 予鈴が鳴るまで、ふたりで他愛のない漫画の話に花を咲かせた。




「あーあ、疲れたあ」


 放課後。教室を出た私は、廊下を歩きながら大きく伸びをして、ふわっとあくびをこぼした。

 その隣で、蘭がくすっと笑う。


「ふふっ。唯ったら、そんなに勉強頑張ってないでしょ?」


 い、痛いところを突いてくる。

 爽やかな笑みで軽くジャブを入れられた私は、しゅんと肩を落とした。


 しょんぼりしたまま校舎を出ると、隣でパッと声が弾んだ。


「――あっ、咲夜さんよ、唯っ!」


 校門の前に立つ兄を見つけて、蘭ははしゃいだ声をあげる。

 その目はきらきらと輝いていた。


 さすが、こんな遠くから見つけるなんて。

 私は呆れたように横目で彼女を見やる。


 そのまま引っ張られるようにして、兄のもとへ駆け寄っていった。


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