第47話 気づかれていた想い
やっと順番が回ってきて、私たちは観覧車に乗り込んだ。
さっき強気で言ったのが効いたのか、兄も素直に加奈さんとふたりで乗っているのが見える。
ほっとしたのも束の間――胸がきゅっと痛んだ。
そっと息を吐き出す。
「唯さん……」
観覧車の小さな箱の中。
向かいに座る流斗さんが、私の名前を静かに呼ぶ。
「はい」
心配をかけまいと笑顔をつくって応じた。
すると流斗さんは、少し困ったように笑ってから、私の隣に移動してきた。
「え、どうしたんですか?」
戸惑いながら視線を向けると、真剣なまなざしが返ってくる。
「唯さんの気持ち、僕、知っていますよ」
「へ?」
「咲夜のこと、好きなんですよね」
「っ! な、なんで……」
ばれてる!?
なんとなく、そうかなって思ってはいたけど……やっぱり!
流斗さんには、私の気持ちが読まれていたんだ。
顔が熱くなる。
でも、それならどうして――。
どうしてあの日、付き合わないかって言ってきたの?
じっと見つめると、流斗さんは少し照れたように笑った。
「ずっと見ていれば、わかりますよ。僕はけっこうするどいんです」
その声は優しいけれど、どこか寂しげ。
彼は切ない表情のまま、窓の外に視線を移した。
「私の気持ち、気づいていたのに……どうして交際を申し込んできたんですか」
「――わからない?」
外の景色を見たまま、流斗さんは問い返してくる。
「あ……まさか、報われない恋をしてる私に同情して?
あきらめるようにって、気遣ってくれたとか……。
流斗さん、優しいから。兄への気持ちに苦しんでる私が憐れに見えたんですよね」
照れ隠しみたいに、少しふざけた調子で言ってみた。
流斗さんがゆっくりと私の方へ振り向く。
その顔は、今まで見たことがないほど真剣だった。
「違うよ……。僕はずっと前から、君のことが好きだった」
静かな告白に、胸が震える。
「覚えてるかな。咲夜に紹介されて、初めて会ったあの日」
そう言われ、私は流斗さんとの出会いを思い出す。
あれは中学一年のとき。
兄が親友だと紹介してくれたのが、流斗さんだった。
「はい、覚えています。すごく優しそうで、格好いい人だなあって思いました」
私の言葉に、彼はくすくすと笑う。
「本当? 嬉しいな。
でもね、実はあのときが初めてじゃないんだ」
「えっ、そうなんですか?」
流斗さんは嬉しそうに頷き、懐かしそうに目を細めた。




