第40話 初デートは遊園地、ドキドキしすぎて変身注意
待ち合わせ場所の駅前は、休日らしくにぎやかだった。
行き交う人の流れに飲まれそうになりながら、私はきょろきょろと辺りを見まわす。
鼓動は、さっきからずっと落ち着かない。
……だって、流斗さんとの初デートだもん。
「だーれだ?」
突然、後ろから目隠しされてしまった。
「えっ!」
驚いて振り返ると、そこには優しい笑みを浮かべる彼の姿。
その近さに思わず一歩後ずさる。
「ははっ、驚いた?」
どこか楽しそうに笑う流斗さん。
「お、おどろきましたよ。もう、流斗さんでもそんなことするんですね」
頬を膨らませると、ふたりでくすくす笑い合う。
「ごめんごめん。唯さんの可愛い反応が見たくて」
ドキッ。
さらりと、ときめくことを言わないでほしい。
私は恥ずかしくて俯いてしまう。
「じゃあ、行きましょうか」
流斗さんが、自然に私の手を取る。
「あ……」
見上げると、優しい眼差しが返ってきた。
何も言えず、頬の熱を感じながら彼に導かれるように歩き出す。
手をつないで街を歩くなんて、まるで恋人同士みたい。
……って、恋人同士だった!
それでも、こんな経験は初めてで、胸のドキドキが止まらない。
心臓、最後までもつかな……。
それに、あんまりドキドキすると――優に変身してしまうかもしれないんだよね。
気をつけないと。
今日のデートの行き先は、遊園地。
やっぱりデートと言えばここ! ……なんて、恋愛初心者丸出しの考えかな?
遊園地の入口前は、家族連れやカップル、友達同士のグループで賑わっていた。
遠くから聞こえるアトラクションの歓声に、胸が高鳴る。
カラフルな風船やキャラクターのパネルが並び、あたりはわくわくした空気に包まれていた。
切符売り場には長い列。日曜日ということもあって、人がいっぱいだ。
私たちはその最後尾へと並んだ。
「すごい人ですね」
ぽつりとつぶやくと、すぐに流斗さんが反応する。
「人込み、苦手?」
「ま、まあ……」
曖昧に答えると、流斗さんの手がそっと私の肩に触れ、優しく引き寄せられた。
一気に距離が縮まって、体がぴったりとくっつく。
ええ!? 何この急展開!
驚いて顔を上げると、流斗さんはニコッと笑う。
「僕が守ってあげるから、大丈夫」
ひーっ、何その王子様発言!
ドキドキが止まらない。だ、だめだ、唯。落ち着いて!
これ以上興奮したら変身しちゃう!
顔を背けて必死に冷静さを保とうとすると、流斗さんがクスッと笑う。
「唯さんって、ほんと可愛いし、おもしろいね」
可愛いは嬉しいけど、おもしろいって何!?
考え込んでいると、列が少し前に進んだ。
「さ、行きましょう」
自然な仕草で、流斗さんが私の背中を軽く押す。
私は浮かんだ疑問を飲み込みつつ、彼の優しい誘導に流されるままに歩き出した。
そして、チケットを買い、いざ入場ゲートへ向かおうとしたとき――




