第24話 兄と蘭と流斗さん、私の通学路が騒がしい
その瞬間、兄がぬっと間に割り込んできた。
「別に、流斗の力を借りるまでもない。
俺がついてるから、心配すんな。な、優?」
そう言いながら、兄は流斗さんの前に立つようにして、私のほうへ身を寄せた。
笑ってはいるけれど、どこかぎこちなさがある。
なぜ兄が流斗さんを突っぱねるのかわからない。
協力してくれるなら、それにこしたことはないはずなのに。
……心強いのに。
「うん、まあ。咲夜がいてくれると安心するけど……流斗さんも手伝ってくれるなら心強いし。
僕は、お願いしたいです」
まだ慣れない男の子の口調をまねながら、流斗さんに微笑みかけた。
「もちろん、喜んで。何でも相談して」
兄を間に挟みつつ、私たちは自然と話を進めていく。
「ちっ……」
兄が小さく舌打ちする音が聞こえた。
もう、なんでそんな失礼な態度を取るかな!
兄を睨んだそのとき――
「あれ、南くん?」
突然の声に、私はびくっと肩を震わせた。
この声は……。
恐る恐る振り向くと、そこには驚いた顔をした蘭が立っていた。
「そうよね? ……南くん。
おはよう、偶然だね。クラスまで一緒に行っていい?」
蘭はにこにこと微笑みながら、自然な足取りで私の隣に並んだ。
……昨日も思ったけれど、蘭はやっぱり優のこと、気に入っているのかな。
通学路だっていつもは違うのに、今日はわざわざこっちに来た?
もしかして、待ち伏せ……。
いやいや、まさか。蘭に限ってそんなこと。
あれだけ男子にモテても全然なびかなかった蘭だよ?
そんなはず、ない……よね。
そう思おうとするんだけど。
蘭の瞳を見ていると、どうにも私の予想が当たっている気がしてならない。
だって、その瞳は、まるで恋する乙女そのものだから。
気づけば私は、左に兄、右に蘭に挟まれて歩いていた。
その少し後ろでは、流斗さんが楽しそうにその様子を見守っている。
みんな、私にとって大切で大好きな人たち。
だから、側にいてくれるのは嬉しい。……けど。
なんだか、視線が痛いのは気のせいだろうか。
すごく注目されている気がする。
そうはわかっていても、どうすることもできず、
私は愛想笑いを浮かべながら登校するしかなかった。




