第141話 悶絶モーニング、恋は継続中
そして翌朝。
けたたましく鳴り響くベルの音。
顔をしかめながら、手探りで目覚ましを止めた。
眠たい目をこすりながら上体を起こし、ふわぁっと大きく伸びをする。
「うーん……」
伸びた姿勢のまま、固まった。
……思い出してしまった。昨日のこと。
「うわーっ、私、朝から何考えてんの!」
布団をかぶって、ひとり悶絶する。
あれは夢じゃないんだよね。
兄に告白されて、両想いになって、両親にも祝福されて……。
まあ、男に変身するなんてこと自体、じゅうぶん夢物語だけど。
と、思ったところで私は勢いよく起き上がった。
え? 本当にもう変身しないんだよね!?
あんなにドキドキしたのに平気だったし。
うん……きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせて頷いた、そのとき。
ふと視線の先にあった時計が目に飛び込んできた。
「やばっ」
一人で悶々としていたせいで、けっこう時間が過ぎていた。
急いで着替えて部屋を飛び出し、洗面所で顔を洗って髪を整える。
鏡の中の自分に微笑み、「よしっ」と小さく気合を入れた。
ダイニングへ行くと、すでに父と兄が席についていた。
母は朝食をテーブルに運んでいる最中だ。
「あ、唯ちゃん、おはよう~。よく眠れた?」
母がにっこりと微笑む。
その表情はどこか意味深で、ふふふっと笑いながら目玉焼きをテーブルに置いた。
「唯、おはよう」
父も、いつものように爽やかな笑顔を向けてきた。
……とりあえず、ほっと胸をなで下ろす。
昨日のあの怒鳴りっぷりが嘘みたい。
あのときは相当取り乱していたようだったけど、もう大丈夫なのかな?
父の様子を気にしつつ席につくと、兄が声をかけてきた。
「おはよ」
ちょっと照れながら、視線を逸らして返す。
「……おはよ」
「おまえ、また寝癖ついてんぞ」
「え! 嘘!?」
「嘘ー」
楽しそうに笑う兄に、私は頬をふくらませてじろりと睨んだ。
こういうところ、全然変わってない。
……ほんとに両想いになったんだよね?って、ちょっと疑いたくなる。
「おほんっ」
なぜか父が妙な咳払いをした。
「さ、ご飯にしよう」
父がそう言うと、母が最後に野菜ジュースの入ったピッチャーを運んできて、みんなに注いでまわる。
席についた母が「それでは、いただきます」と言うと、みんなの声が重なった。
『いただきます』




