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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
やさしさに満ちた場所で

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第134話 愛の証明と影との再会①

 流斗さんと蘭が帰って、リビングは急に静かになった。

 ソファに腰を下ろし、みんなで温かい飲み物を手にする。


 私とお兄ちゃんはココアで、父と母はハーブティー。

 甘い香りとハーブの匂いがまじり合い、心までほぐれていくようだった。


 幸せをかみしめながら、私は兄に視線を向ける。

 目が合うと、優しい微笑みが返ってきた。


「唯、あのこと、咲夜くんから聞いたんだってね」


 静寂を破ったのは父の声。

 いつもより少し硬く、慎重さを含んでいた。


 父の言う「あのこと」とは、きっと――


「うん……全部、聞いたよ」


 私は姿勢を正し、父と母をまっすぐ見つめた。


 父がひとつ頷き、母と目を合わせる。

 母も小さく頷き返し、そして二人は私の前で同時に頭を下げた。


「今まで黙っていて、ごめん」

「ごめんなさい」


 突然のことに、思わず目を見開く。


「えっ! な、なに? そんなのいいよ、頭を上げて」


 慌ててそう言うと、ふたりはゆっくりと顔を上げた。


「いつか話さなきゃとは思ってたんだ。

 でも唯の顔を見ると……どうしても言い出せなくて、ここまで来てしまった」


「唯ちゃんの傷つく顔を、見たくなかったの」


 ふたりの表情や瞳には、深い愛情と後悔が滲んでいた。

 その想いが、じわっと胸に沁みてくる。


「うん、わかってるよ。

 もし私が同じ立場だったら、きっと同じことしてたと思う」


 ふわりと微笑むと、ふたりの顔も少しほころんだ。


 そう、ちゃんとわかってる。

 お兄ちゃんも、お父さんも、お母さんも――

 みんな、私を大切に想ってくれていることを。


 傷つけたくない、守りたいという気持ちが、沈黙の裏にあったんだ。


「私、大丈夫だよ。

 誰のことも恨んでないし、お兄ちゃんのことも……嫌うなんてありえない。

 お母さんだって、きっと天国で私たちを見守ってくれてると思う。


 私はこの家族が大好き。

 いつも想ってくれて、愛してくれて――本当に、ありがとう」


 涙がこぼれ、頬を伝っていった。


「唯……」


 兄の手がそっと頬に触れ、指先で涙をぬぐってくれる。

 その仕草があまりにも優しくて、胸がぎゅっと締めつけられた。


 視線を上げると、


 父と母が左右からそっと近づいてきた。

 そして、私たちをふわりと抱き寄せる。

 大きなぬくもりに包まれて、心まで満たされていく。


 ――私はこの夜、家族の絆をあらためて感じた。


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