第133話 星のきらめきと、薬指の約束
「ね、何もらったの? 開けてみたら」
蘭の瞳はキラキラと輝いている。
私も気になって、そっと包みを解き、箱を開けてみた。
中に入っていたのは、星のチャームがついた銀色のネックレスだった。
「わぁ……可愛い。ありがとう、流斗さん」
「どういたしまして」
私が微笑むと、流斗さんも嬉しそうに笑う。
ふたりで見つめ合っていると、すぐに兄が割って入ってきた。
「ふんっ、なんだよ、そんな……。
おい、唯、俺もあるからな。ほら」
ぶっきらぼうに、小さな白い箱を差し出してくる。
「あ、ありがと……」
兄から箱を受け取った私は、じっとそれを見つめた。
これって、もしかして……。
「ああ、指輪ですか?」
「いやーん、素敵!」
流斗さんと蘭が、すかさず覗き込んでくる。
「開けていい?」
期待を込めて視線を送ると、兄はそっぽを向いたまま小さく頷いた。
……照れくさそうな横顔が、なんだか可愛い。
胸の高鳴りを抑えきれず、そっと箱に手をかける。
蓋を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは――細くて上品なリングだった。
トクン、と胸が大きく跳ねた。
「綺麗……ありがとう」
そっと左手の薬指にはめてみる。
ぴったりだった。
「婚約指輪だね」
蘭がうっとりしたように言う。
頬に熱がこみあげてきて、耐えきれず視線を落とした。
ちらりと兄をうかがう……やっぱり目を合わせてはくれない。
ほんと、照れ屋で意地っ張りなんだから。
「なになに? 唯ちゃん、ネックレスと指輪もらったの?
すごい、さすが私の娘ね~、モテモテじゃない!」
いつの間にか背後にいた母が、ぎゅっと抱きついてきた。
その声も抱擁も、やけに嬉しそう。
「ほんとだよ……唯は可愛いから、父さん心配だなあ」
父の情けない声が頭の上から降ってきて、そのまま私と母ごと抱きしめられる。
驚いたけど――その温もりが心地よくて、自然に頬がゆるんだ。
「もう、何言ってんの」
そう返したら、みんなが一斉に笑い声をあげる。
――こうして。
人生で一番幸せなクリスマスが、静かに過ぎていった。




