第130話 クリスマスの夜、突然の訪問者
四人で賑やかに食事を楽しんでいると、突然、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい!」
母がぱたぱたと小走りで玄関へ向かう。
しばらくして、明るい声が響いた。
「唯ちゃーん!」
「あ、はーい!」
……誰だろう?
呼ばれて玄関へ向かうと、そこには流斗さんと蘭が立っていた。
二人ともコート姿で、頬がほんのり赤い。蘭は真っ赤なマフラーをぐるぐる巻きにしていて、その隣では流斗さんが優しい笑みを浮かべている。
「え? 二人とも、どうしたの?」
驚く私に、二人はそろってにっこりと微笑んだ。
「メリークリスマス! 唯さんと一緒にお祝いしたくて、来ちゃいました」
「私も唯と過ごしたくて来たんだけど……家の前で流斗さんと鉢合わせしちゃって。
じゃあ一緒にって話になったの」
へぇ……すごい偶然。
でも、嬉しいな。この二人と一緒にクリスマスを過ごせるなんて、思ってもみなかった。
ほんの少しだけ、二人の笑顔に何か含みがあるような気もするけど――まあ、いいか。
これぞ、クリスマスプレゼントだよね。
「そうなんだ、ありがとう。来てくれて嬉しい。どうぞ、上がって」
私が声をかけると、二人は嬉しそうに頷いた。
「はーい、お邪魔しまーす!」
蘭が元気いっぱいの声を響かせ、軽やかにリビングへ駆けていく。
すぐに向こうの方から、兄や父と話す声が聞こえてきた。
「では……お邪魔します」
続いて、流斗さんがゆっくりとした足取りで私の前を通り過ぎる。
そのとき、ちらりとこちらを見て、やわらかく目を細めた。
「うまく、いったようですね」
小さな囁きに、思わず目を見開く。
流斗さんは静かに微笑み、そのままリビングへと歩いていった。
ぽかんとその背中を見送っていると、母が声をかけてきた。
「どうしたの? 唯ちゃん。せっかくお友達が来てくれたのに。
でも嬉しいわ〜。咲夜の親友と唯ちゃんの親友、ふたりともクリスマスを祝えるなんて……なんて幸せなのかしら!
さあ、早く私の手料理を振る舞わないとっ!」
スキップしながらリビングへ向かう母の背中を、私はあきれ顔で見送った。
……ほんとに可愛い人だ。
それより――さっきの流斗さんの態度、やっぱり気になる。
もしかして……。
私も急いでリビングへと向かった。




