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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
クリスマス、君に届け

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第124話 いざ、恋のクリスマス決戦!②


 クリスマス当日。


 朝から、家の中は妙に浮き足立っていた。


 台所では母が鼻歌まじりに料理中。

 いい匂いが部屋中に広がっている。


 部屋の片隅では、父が飾り付けに夢中になっていた。

 この日のために有休まで取ったらしい。気合いの入り方がすごい。


「私も手伝おうか?」と声をかけてみたけれど、あっさり断られてしまった。


 なんでよ……飾りくらいなら手伝えるのに。


 ふとリビングを見ると、兄の姿が目に入った。

 どこかそわそわしながら、ツリーの飾りをいじっている。


 その真剣な横顔に、思わず見惚れてしまった。


 それにしても、この家族はイベントごとになるとテンションが高い。

 みんなそれぞれ楽しそうに作業していて、見ているだけでお腹いっぱいになる。


 でも……こういうのも悪くないなって思う。

 みんなが楽しそうにしていると、胸がぽかぽかしてくるから。


 


 ――そして数時間後。

 登校すると、学校中もそわそわした空気に包まれていた。


 今日はクリスマス。恋人たちにとっては特別な日。

 みんながどこか浮かれていて、廊下の空気まで甘ったるい。


 仲良く談笑する友達やカップルたちを横目に、私はうつむきながら歩いた。


 ……何も、進んでない。


 あれから兄とは話せていないし、結局、気持ちもわからないまま。


 流斗さんだって、あのとき「僕に任せて」って言ってたのに。

 あれは、どういう意味だったんだろう。


 はあ、と何度目かのため息をつきかけた、そのとき。


「唯! とうとう今日だね、頑張って!」


 突然、背後からぎゅっと抱きつかれた。

 振り向くと、蘭が満面の笑みで顔を覗き込んでくる。


「え? あ、ああ……うん」


 私の沈んだ様子を察したように、蘭が短くため息をついた。


「あー……あのことね。

 でもさ、一度決めたことだし。頑張って気持ち伝えてみなよ。

 咲夜さんがどう思ってるかなんて、本人にしかわかんないし」


 蘭にはすべて話してある。

 兄が流斗さんとのことを応援すると言ったあの一件で、ずっと悩んでいることも。


 そんな私を、蘭は変わらず励まし続けてくれていた。


 彼女の存在が、どれほど力になっているか……。

 きっと蘭は、気づいていないんだろうな。


「うん……わかってる。ありがとう、蘭。私、頑張る」


 私が笑うと、蘭は力強くガッツポーズを見せる。


「その意気よ! 大丈夫、私がついてるから」


 親友の励ましが、胸に沁みる。

 私はもう一度、小さく頷いた。


 ……けれど、やっぱりまだ、胸の片隅には不安が残っていて。

 それをどうしても、拭いきれずにいた。


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