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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
【咲夜side】――決意

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第123話 まっすぐな瞳に暴かれる本音②


「……なんだよ、話って」


 流斗に呼び出されて、俺は屋上へやってきた。

 晴れ渡る青空、爽やかな風……と似つかわしくない人物がひとり。


 目の前には、俺を睨みつける流斗。

 さっきから不穏な空気をまとっている。相当怒ってるときの顔だ。


 俺、何かしたっけ? とくに思い当たることはないんだけどな。


「咲夜……」


 その声には、明らかな棘があった。


「な、なんだよ」


 いったい何を言われるのか、ドキドキしながら流斗を見返す。

 ……けど、なんとなく予想はついていた。

 こいつがこんな顔をするのは、きっと――。


「なんで唯さんに、僕とのこと応援するなんて言ったんだよ」


 ほらな、やっぱり唯のことだった。

 っていうか、その話か。


「だって、おまえら、うまくいってるんだろ?

 最近すげぇ仲良さそうだし、誰が見たってお似合いのカップルだ。

 ――それに、唯もおまえと一緒にいると、すごく幸せそうだしさ……」


 精いっぱいの皮肉を混ぜて、そう言ってみた。


「何、言ってるんだよ!!」


 突然の怒号に、ビクッと体が跳ねる。

 怒気をはらんだ声と、睨みつけるような目――。


 こんなに怒ったこいつ、初めて見た。

 まさか、あの冷静な流斗がここまで怒りをあらわにするなんて。


 流斗は鬼の形相で俺に詰め寄ってくる。

 その勢いに気圧されて、思わず一歩後ずさった。


「な、なんで怒ってんだよ!

 俺は本気で、二人のこと応援しようって……」


「本気で言ってるの?」


 その言葉とともに、流斗の鋭い眼差しが俺を貫いた。


 こいつ……本気だ。

 親友の真っすぐな気持ちが、容赦なく伝わってきて――背筋がひやりと冷える。


「……ああ、本気で思って……」


 言いかけて、言葉が詰まった。

 なぜか、その先が出てこない。


 俺、もしかして――。


「ほら、やっぱり……本当はそんなこと思ってないんだろ?

 咲夜は俺と唯さんが一緒になるのが嫌なんだ。

 そうだろ? なんで素直になれないんだよ」


 流斗がイラついたように言葉を吐き捨てる。

 責められているうちに、こっちもだんだん腹が立ってきた。


「なんなんだよ、さっきから! 責めるようなことばかり言ってさ。

 おまえだって嬉しいんだろ? 唯が自分のものになってさ。

 よかったじゃねぇか、ずっと好きだったんだろ?」


 そう言った瞬間、流斗の表情がふっとゆるんだ。

 どこか諦めたような、寂しげな笑顔。


「ああ、そうだね。……嬉しいよ。

 それを、唯さんが本当に望んでいるならね」


「え?」


 さっきまで威勢のよかった流斗が、途端に沈んでいく。

 肩を落とし、静かに目線を下げた。


「わかってるだろ? 唯さんの気持ちは、僕にないよ。

 昔から、唯さんが想っているのは――」


 顔を上げた流斗の瞳が、まっすぐ俺を射抜く。


 その瞳は、哀しみを湛えながらも、揺らぎのない強さを秘めていた。


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