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義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます  作者: 桜 こころ
衝撃の真実

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第111話 家族の嘘、残酷な真実

 静かな室内には、何の物音も聞こえない。

 時計の針の音と、胸の鼓動だけが、やけにリアルに響いていた。


「え……どういうこと?」


 私は呆然と兄を見つめる。

 いったい何を言っているのか、わからなかった。


 私の実母は、交通事故で亡くなったと聞かされていた。

 それ以外、何も知らない。


 兄は思い詰めた表情で、拳をきつく握りしめ、低い声を搾り出した。


「……俺の父親が、飲酒運転したんだ。暴走したその車が、唯の母親に突っ込んだ。

 それで……二人とも、即死だったそうだ」


 言葉の意味が、すぐには理解できなかった。


 飲酒運転、暴走、即死――。

 何度も頭の中でその言葉が反響する。


 私の母親が……お兄ちゃんの父親に?


 そんなこと、今まで誰にも聞かされていない。

 お父さんだって、「交通事故だった」としか言ってなかった。


「父さんと母さんは、唯のことを想って、言えなかったんだと思う。

 まだ小さかったし……このことを知ったら、俺や母さんとうまくやれなくなるかもしれないって……きっと、怖かったんだ」


 言葉を失う。


 家族みんなが知っていて、私だけが知らなかった。

 ――実の母の真相。


 胸がぎゅっと締めつけられ、心臓がバクバクと脈打ち、呼吸が浅くなる。

 苦しい。頭が真っ白になる。


 わからない、わからないよ。なんで……なんで!

 理解ができなかった。


 でも、兄の目は本気だ。嘘を言っているとは思えない。


 ドクドクドクドク――激しく荒ぶる心臓。

 私の気持ちを表すかのように、心が叫び踊る。


 次の瞬間。

 ドクン、と胸の奥が大きく脈を打った。


 そして――私は、優に変身した。


「しっかりしろっ!」


 兄の声が耳に響く。

 肩を掴まれて、強く揺さぶられる。


 反射的にその手を振り払った。


「……っ」


 傷ついた兄の顔が、視界に焼きついた。


「あ……ご、ごめんなさい」


 それだけ呟くと兄に背をむける。

 そのまま、ふらふらとした足取りで、部屋から出た。


「唯!」


 兄の叫び声が背中に届く。

 けれど、追ってくることはなかった。


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