第101話 たこ焼き、赤面ちゅういほう
でも、どこかウキウキした様子で割り箸を割った流斗さんが、たこ焼きをひとつ摘んだそのとき。
その表情が、ふっといたずらっぽく変わった。
「はい、あーん」
たこ焼きが、私の目の前に差し出される。
あつあつほくほくの湯気がふわっと立ちのぼった。
「えっ!?」
思わず目を見開く。
こ、これは……あのカップルがよくやるという“あーん”なのでは!?
私は大きな目でたこ焼きを凝視する。
やるのか、いくのか、自分!?
恥ずかしい。でも、断るのも……。
苦悩しながら、ちらりと彼を見る。
流斗さんの目は、何かを期待しているように輝いていた。
ええい、もう、ここまできたら!
勢いよく、流斗さんが差し出すたこ焼きをぱくりと頬張った。
口の中に広がる、ふわふわアツアツのたこ焼き。
「おいしい〜」
にこっと微笑むと、流斗さんはそのまま固まってしまった。
そして次第に、顔がじわじわと赤くなっていく。
「いやぁ……これは、いいですね」
俯きながら、ぽそっとつぶやく。
え? なに、どういうこと?
流斗さんも実は恥ずかしかったの? なら、なんでやったの……。
私まで恥ずかしくなってしまって、つい視線を落とす。
「じゃ、じゃあ僕もいただきます」
私が口をつけたその箸で、流斗さんはためらうことなくたこ焼きを口に運んだ。
……あ、間接キス。
恥ずかしくて、視線が泳ぐ。
い、意識し過ぎだよね。
ちらっと流斗さんを見たけれど、まるで気にしていない様子。
「うん、美味しいですね」
本当に嬉しそうに笑うから。私も、つい笑ってしまった。
「は、はい」
ああ、私、いったい何してるんだろう……。
まるで、ほんとの仲良しカップルみたいなことして。
早く、言わなくちゃいけないことがあるのに。
――それなのに、それなのに。
どうしよう~!




