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Gal Monk  作者: Futahiro Tada
8/10

苦からはじまる、学びの旅

 俺は女の子と付き合った。

 それも生まれて初めてね。

 彼女ができたのだ。

 佐伯瞳ちゃん。

 結構可愛いのだ。

 俺たちは、家の方向が違うから、一緒に通学はしなかったけれど、学校では大体一緒にいたんだよね。

 例えば休み時間になると、チョコチョコとと、瞳ちゃんがやってきて、俺と一緒に話す。

 話す内容は何でもいい。

 例えば、前日のテレビドラマとか、バラエティー番組とか。

 後は本の話も結構したよ。

 瞳ちゃんは本が好きだから、色んなジャンルの本を俺に教えてくれたんだ。

 だからね、俺も本を読むようになった。

 普通、高校生が読む本だと、ラノベとかが中心かもしれない。深夜アニメとか、面白い作品が多いから、俺も読んでみたいとは思ったよ。

 事実、ラノベ系の作品を瞳ちゃんに勧められたこともある。

 けどね、俺が本当に読みたかったのは、そのような本じゃない。

 俺は、「歎異抄」を手にした。

 歎異抄について、少し紹介しているけど、鎌倉時代後期に書かれた、日本の仏教書だ。

 親鸞聖人の教えが書かれている書物だけど、作者は親鸞聖人ではない。

 弟子の唯円という人らしい。

 色んな出版社から、歎異抄は出版されている。

 だが、どこも共通して言えるのは、とにかく読みにくいということだろう。

 ラノベとは違うのだよ。

 全くね。

 だからさ、読書ほとんど初心者の俺にとっては難解な書物だったんだよね。

 それでも、俺は必死に読み進める。

 そこには、俺の求めている答えがあるような気がしたんだ。

 親鸞聖人は悪人だって救われるって言っている。

 そう、悪人も……。

 俺の中で悪人と言ったら、あの生徒会長だ。

 彼は二面性がある。

 裏の顔。

 そして表の顔。

 先生たちの前ではいい顔をしているけれど、少し暗黒面に堕ちると、あっという間に裏の顔になる。

 同時に、そんな彼を更生させようと、美沙は動いている。

 本当にそれができるかわからない。

 不良が更生して、立派になる話はあるけれど、現実はなかなか難しい。

 思春期にこじれた心の傷は、そう簡単には回復しないよね。

 美沙が心配だった。

 あの生徒会長が、本当の顔を見せて、美沙に牙をむく。

 それを考えるだけでも恐ろしいと感じたよ。

 さて、そんな風にして月日は流れていったんだけど。

 七月を迎え、定期テストが終わったんだ。

 これから夏休み。

 なのに、そのまえに進路調査票というものが配られた。

 これは、自分の進路をはっきりさせるために、学校が勝手にしているアンケートみたいなものだ。

 俺たちはまだ一年生だけど、この回答票に応えないとならない。

 進路……。

 さて、どうするべきか?

 正直、進路と言われても困るよね。

 俺たちの通う高校は、決して進学校というわけではない。

 けどね、大抵が進学希望だ。


・専門学校。

・短大

・大学


 まぁ色々あるけれど、大体はこの辺りに進学する。

 就職するっていう人間があまり多くないだろう。

 高卒でも雇ってくれる会社はあるだろうけれど、もう少し遊んでいたいという気持ちもあるよ。

 遊ぶために進学するわけじゃないけど。

 なんというか、モラトリアムの中を漂っていたいという気持ちはある。

 帰り際、瞳ちゃんが俺のところにやって来て、進路について話してきた。

「悠真君。進路表なんて書いた?」

「あ、うん、それねぇ、実は結構困ってて」

「なら、とりあえず進学って書けばいいんじゃないかな?」

 瞳ちゃんは、最初の頃はいつも敬語を使ってきたけれど、最近は結構砕けてきて、タメ語になっている。

「進学ねぇ。瞳ちゃんは栄養士でしょ? ならやっぱり大学なのかな?」

「うん。私は大学志望だよ」

「県外? それとも県内の大学?」

「理想は、県外かな。……一人暮らしとかしてみたいし」

「一人暮らしか……、それもいいかもね」

 新潟にもいくつか大学はある。

 有名なのは国立大である新潟大学。

 だけど俺の学力だとちょっと難しい気もするよ。

「悠真君何かしたいことないの?」

「したいことか……。まぁ、あるにはあるんだけど」

 そう、あるにはあるのだ。

 実を言うと、俺は少し仏教を勉強してみたいと思っている。

 とはいっても、僧侶になるとかそんな感じじゃなくて、どんな世界なのか見てみたいのである。

「悠真君のしたいことって何?」

「う~ん、ちょっと変なんだよ」

「いいよ、聞かせてほしいな」

「うん。実はさ、仏教の勉強とかいいかなって」

「……」

 すると、瞳ちゃんは黙り込んだ。

 やっぱりマズいこと言ったのかな?

「それって、知立さんの影響?」

「え?」

「だから、知立さんが関係してるんじゃないの」

「い、いや、そういうわけじゃ……、まぁきっかけを作ったのは彼女だけど」

「ダメです。悠真君は私だけを見ていないとダメなの!」

 突然、瞳ちゃんが不機嫌になった。

 それはそうだろう。

 自分という彼女がいながら、別の女の子の名前が出たら、イヤな気持ちになるかもしれない。

「ゴメン、特に深い意味はないんだ。ホントに」

 ムスッとしながら、瞳ちゃんは、俺の手を取った。

「悠真君は私のモノなんだから。悠真君、今日は罰として私にコーヒーご馳走して」

「わかったよ。今日だけだぞ」

 俺たちは学校を出てカフェに向かう。

 定期テストが近い時は、真っすぐ家に買って勉強したけれど、それが終わると腑抜けてしまう。

 夏休みまであと数日。

 俺たちは学校が終わると、大抵万代にあるカフェに行って談笑していた。

 コーヒーを二つ頼み、それを瞳ちゃんのところに持っていく。

「ありがとう。悠真君」

「いや。今日だけだからな」

「エヘヘ、わかってるって」

「もうすぐ夏休みだね」

「うん。一緒にプールとか海と行きたいなぁ」

「そうだね。せっかくの夏休みだし」

「でもちゃんと宿題もしないとダメだよ。そうだ、悠真君一緒に勉強しようよ。それが終わったら海に行くの」

「まぁ、いいけど。瞳ちゃんに勉強教えてもらえれば俺も助かるし」

「私もそんなにできるわけじゃないけどね」

「でも俺より成績いいじゃん」

「大体同じだよ。じゃあ、夏休みに入ったら勉強しよ。私の家、狭いから悠真君の家に行ってみたいな」

「俺の家か……、いいけど、そんなに広くないよ」

「大丈夫。私、男の子の部屋に行くの初めて。だから、ちょっと楽しみ……、どんな部屋なんだろう??」

「あんまりハードル上げないでほしいな。とにかく普通だから」

 こうして、俺たちは一緒に勉強することになったのだ。


 終業式――。

 今日で前期の学校は終わり。

 明日から夏休みである。

 嬉しい……。

 俺はその日日直で、日誌を職員室に届けに行ったんだけど、その時、意外な人物に合ったんだ。

 意外な人物。

 それは――、

知立宋憲さん。

 そう、美沙のお父さんである。

 彼は僧侶だけど、普通にスーツを着ていたし、髪もあるからお坊さんには見えない。 

 向こうも俺の存在に気づいたようだった。

「お、君は確か美沙の友達の」

「榊原です」

「そうそう。榊原君、美沙がお世話になっているね」

 最近はまったくつながりがないのだけど。

「えっと、お父さんは何をしに来たんですか?」

 この場合、宋憲さんを何と呼ぶのかわからなかった。

 迷ったけれど、俺はお父さんと呼んだ。

「ちょっとね、美沙のことでね」

「美沙さんのことで」

「うん、君は美沙に何も聞いていないの?」

「特に何も……」

「そうか。ならいいんだ。最近美沙とどう? 上手くやってる」

「えっと、最近はそんなに」

「なるほどね。そんな感じだと思ったよ」

「え、どうしてですか?」

「父親の勘。美沙がここしばらく元気がなくてね。まぁ、本格的に僧侶を目指すとやる気にはなっているんだが」

「そうなんですか」

「そうだ、榊原君、今少しいいかね?」

「今ですか? 別に構いませんけど」

 俺と宋憲さんは廊下に移動して、そこで相対した。

 俺もちょうど聞きたいことがあったから都合がいい。

「美沙と何かあったのかね?」

「いえ、特に。ただ、拒絶されたみたいで」

「拒絶か……、どうしてだろう?」

 その理由を言ってもいいのだろうか?

 だけど、俺は真実を言ってもいいような気がしたんだよね。

「多分ですけど、俺に彼女ができたから」

「なるほどね。やはり恋愛関係か……」

 と、納得したように宋憲さんはつぶやいた。

「よくわかったよ、ありがとう。君も大変だと思うが、これからも美沙をよろしくね」

「はぁ」

 それだけ言うと、宋憲さんは立ち去ろうとした。

 だけど、俺はそれを制する。

「ちょっと待ってください。一つ聞きたいんです」

「私に聞きたいこと?」

「はい、仏教を勉強したいんです。そんな時、どうすればいいですか?」

「仏教を、それまたどうして?」

「人生は苦です。でも、誰もが救われる道を説いているからです」

「ふむ、確かに人生は難しい。まぁ、いいだろう。仏教を学ぶ方法はいくつかある。大学に行って学んだり、師僧に弟子入りしたり、後は、最近は通信教育もあるかな」

「そうなんですか」

「君はこれから夏休みだろう?」

「はい」

「そうしたら、一度仏教の学校を見てみたらどうかな? 君はまだ若い。色々経験してみるといいだろう。仏教を学べる大学もあるし、夏休みは、オープンキャンパスもやっている。どんな感じなのか、見ておくのはいいと思うけどね」

「仏教の大学……。そうですね。ちょっと調べてみます」


「煩悩にまなこさえられて

 摂取の光明みざれども

 大悲ものうきことなくて

 つねにわが身てらすなり」


「? え??」

「これはね、親鸞聖人が残した言葉だよ。煩悩の悩まされるのは人間だから当然だ。そして、そんな時は、阿弥陀さまの慈悲の光が見えない。でもね、阿弥陀さまは必ず見ておられる。つまり、常に君を照らし続けてくれるだろう。だから安心して進みたまえ」


 親鸞聖人を引き合いに出すとことは、本当に美沙とよく似ている。

 やはり親子なんだな……。

 仏教の大学を見てみる。

 それが俺の目標になりつつあった。


 夏休み――。

 俺はせっせと部屋の掃除をする。

 フローリングの部屋だけど、掃除機をかけてさらに念入りに雑巾がけした。

 すると、そこに陽菜がやって来て、

「悠真、何してんの?」

「何って掃除だよ」

「なんで熱でもある?」

「ないよ、とにかくいいだろ。掃除くらいくするよ」

「誰か来るんでしょ?」

「そうだよ」

「それって女の子?」

「うん。彼女……」

「か、彼女ぉ……。な、なに、悠真のクセに彼女とかいるの」

「うっさいなー。いいだろ別に。とにかく今日来るから、一緒勉強するだ。だから邪魔するなよ」

 すると陽菜はなよなよとへたり込んだ。

「な、なんてこと……、悠真に彼女なんて、嘘でしょ、嘘だよー」

 すっくと立ちあがると、ギャーギャーとわめきながら自室へ消えていった。

 なんだあいつ。

 まったく変な奴だな。

 

 午後――。

 俺はバスセンターまで行って、瞳ちゃんを迎えに行く。

 待ち合わせ時間の少し前に行き、瞳ちゃんを待つ。

 すると、バスがやって来て、瞳ちゃんが降りてきた。

 ただ勉強するだけなのに、結構オシャレしている。

 ヒザ丈の白の半袖ワンピース。

 ウエストにベルトをして、アクセントをつけている。手には少し大きめなカバンを持っていた。

「何か緊張する」

 俺に会うなり、瞳ちゃんはそう言った。

「どうして?」

「だって、悠真君の家に行くんだよ。ご両親にもあいさつしないと」

「あぁ、俺の親、今日は仕事でいないんだ」

「え、ご両親いないの?」

「うん。妹はいるけど」

「それじゃ、そんな……キャー」

 勝手に一人盛り上がる瞳ちゃん。

 女の子ってホントよくわからない。

 自宅に着き、部屋に瞳ちゃんを案内する。

 すると俺たちがやってきたのを聞きつけたのか、陽菜やってきたのである。

 それもジュースをお盆に乗せて。

「兄がお世話になってます」

「えっと、悠真君の妹さん?」

「はい、陽菜っていいます」

「陽菜ちゃん宜しくね」

 すると、微かに陽菜が舌打ちしたかのように見えた。

 そして――。

「キャー」

 と、やや演技臭く、陽菜がジュースをこぼした。

 それが瞳ちゃんにかかりそうになったのだが、服にはかからず、足に零れてしまった。

「あぁ、ゴメンナサイ。慌ててしまって」

「ううん、大丈夫だから、陽菜ちゃんも大丈夫? かかってない?」

 ジュースをかけられたのに瞳ちゃんは陽菜の心配をしている。

 やはりいい子なのだ。

 陽菜が意外そうな顔をして、瞳ちゃんを見ていた。

 俺は雑巾を取ってきて、床を拭く、後はタオルで瞳ちゃんに渡す。

「陽菜、お前はもういいから、あっち行ってろ」

「はいはい。どうせ私は邪魔ものなんでしょ」

 そう言い残すと、不満そうに陽菜は消えていった。

「ゴメンね。瞳ちゃん、大丈夫?」

「うん、私は大丈夫。私、陽菜ちゃんに嫌われているのかなぁ?」

「そんなことないと思うけど。でもよかったよ服にかからなくて、白いワンピースだもんね。すごく似合ってる」

「ありがとう、これ買ったばかりなの」

「そうなんだ……、じゃあ勉強しようか」

「そうだね」

 俺たちは夕方まで一緒に勉強をした。

 そして夕方五時に切り上げて、瞳ちゃんを送っていく。

 だけど、瞳ちゃんは何だか不満そうだった。

 別れ際、瞳ちゃんは言った。

「あ、あの、私って魅力ないのかなぁ」

「そんなことないけど」

「でも、悠真君は何もしてこなかったよ」

「そりゃそうだよ。だって、瞳ちゃんは大切な……、か、彼女だし」

「でもキスくらいはして欲しかったかぁ」

 キスか……。

 まったく考えていなかった。

 だけど、俺たちは付き合って一ヶ月経ったけれど、まだキスをしてない。

 そろそろした方がいいのかな?

「じゃあ、今度しようか、キス」

「えぇぇええ、今度なのぉ、もういい!」

 瞳ちゃんは今キスをして欲しかったらしい。

 どうやら、俺は選択を間違ったみたいだ。

 まぁ、少しずつだけど、俺たちは親密になっていった。

 けど、どうしてだろう?

 とてつもなく苦しいのだ……。


 夏休みは長いようで短い。

 そんな中、俺は東京に向かおうとしていた。

 その理由はただ一つ。

 仏教系の大学のオープンキャンパスに参加するためだ。

 本当は京都に行きたかったんだけど、新潟か京都だと距離が結構ある。

 その点、東京なら新潟駅から新幹線で一本で行けるから、俺でも迷わず行けそうだった。

 東京にはいくつか仏教系の大学がある。

 俺は、親鸞聖人に強い興味を覚えていたから、武蔵野大学のオープンキャンパスに行くことにしたんだよね。

 この大学は、浄土真宗本願寺派により設立された「仏教精神による人間教育」を目指した学校であり、近年は少人数教育とキャリア開発に力を入れ学部学科の増設や改組を頻繁に行っているんだ。

 仏教には色々な宗派がある。

 だけど、俺は親鸞聖人が開いた浄土真宗に興味があったんだ。

 それで、武蔵野大学を見てみたいと思ったんだ。

 あと、東京築地には、浄土真宗の関東の総本山、築地本願寺がある。

 そこにも行ってみたかった。

 だから、俺は一泊二日で東京に旅立ったったわけ。

 俺の住む新潟市中央区には、新潟駅という大きな駅がある。

 これは、何度も紹介しているからわかるよね?

 んで。

 新潟駅には、普通に新幹線が停まるんだ。

 上越新幹線。

 新潟から東京まで大体二時間で結ぶ。

 東京に行くのは二度目だ。

 前は中学の時の修学旅行で行ったんだよね。

 それ以来。

 一人で行くから余計に緊張したよ。

 朝の新幹線に乗り、お昼前に東京駅に着く。

 まず向かうのは築地本願寺。

 ここは絶対に行っておきたい場所だ。

 東京駅から築地までは一本では行けない。

 いくつかルートがあるけれど、俺は地下鉄を使ったよ。

 東京から丸ノ内線で銀座まで出て、そこから日比谷線に乗り換えて築地まで。

 乗り換えとか初めてだったから、よくわからなかったけれど、俺は何とか築地にたどり着いた。

 普通、寺院というと、和式というか、そんな和のテイストだと思うのだけど、築地本願寺は違っていた。

 なんというか、オリエンタルなのだ。

 築地本願寺の建物は、インドの古代仏教建築を模倣しているらしい。

 だから、本堂にはステンドグラスとかあったりして、ものすごく異国に来たような感じがするのだ。

 数多くの動物の彫刻があり、何かこう、不思議な気分にさせてくれた。

 正門から真っすぐ入っていくと、大きな本堂がある。

 何というか荘厳で、見るものを圧倒させるんだよね。

 東京に、こんな世界があったとは……。

 感動的だよね。

 うんうん。

 俺は一通り見て回って、その後、築地本願寺がやっている仏教文化講座に参加した。

 これは毎週土曜日にやっていて、俺が行った日は、これに合わせて行ったから、丁度良く受けられたんだよね。

 時間は三時から四時まで。

 もちろん無料であるからありがたい。

 生活の中から仏教を知ることができるのだ、

 その日テーマは。


『現代人のためのブッダの教え』


 だったんだ。

 正直、ブッダと言ってもピンとこないよね。

 俺もそうだよ。

 だけど、ブッダというのは、ほとけのことを言う。

 同時に、悟りの最高位「仏の悟り」を開いた人を指すんだよね。

 まぁ、崇高な人を指す言葉なんだろう。

 多くの仏教の宗派では、ブッダというのはお釈迦様だけを指す場合が多い。

 講義は凄く充実していて、ブッダやお釈迦さまなどのことがよくわかった。

 周りはみんな年寄りばかりだったけれど、いい勉強ができたと思う。

 やはり、仏教は奥が深い。

 きっと、一生かけても学びきれないだろう。

 でも。

 だからこそ、やる価値があるのだ。

 俺はそんな風に感じたよ。

 築地本願寺には、東京仏教学院という学校がある。

 ここは主に、夜間に開講されていて、浄土真宗の教えを専門的に学べるのだ。

 つまり、今の俺にあっているのかもしれない。

 日中は働くなり、大学に行くなりして、夜は、仏教を学ぶ。

 それが可能になるのだ。

 そして、東京仏教学院は築地本願寺で勉強するのだ。

 こんな素晴らしい環境で学べるのだ。

 それってすごいよね。

 こんな世界があるんだ。

 仏教を学ぶ方法はたくさんある。

 これから、少しずつ考えて、将来を決めていけばいい。

 そうすれば、きっと俺の思っている世界にたどり着けるような気がするんだよね。

 築地本願寺を出ると、東京駅まで戻り、予約してあるホテルに向かった。

 今日はこれまで……。

 後は明日、武蔵野大学に行き、オープンキャンパスを受けるだけである。

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