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振り振られ




「私、岡登米おかとめさんのこと好きです」


バックヤードで休憩中。新入社員として入ってきた可愛い後輩が、そんなことを言い出した。


「……え、そうなんだ…」

「狙ってもいいですか?」

「……うん?いいと思うよ? どうして私に…?」

「だって甚内じんのうちさん、岡登米さんと仲良いんですもん。何かあればすぐにじんちゃんって言ってます」

「…そうなんだ」


トモダチなのに。トモダチだからなのかよく分からない。そもそも、新入社員の子にまでそう思われていたのは驚いた。


何はともあれ、彼はあまりお勧めしない。と言いたかったが、何せ彼女は本気な気がする。だからこそこれ以上何も言えずに、ただ成功を祈るしか無かった。




___




「……ダメでした。振られました」


とある日。その可愛い後輩が朝からテンション低めだなと感じていて、声を掛けたらそう言っていた。また今にも泣きそうな表情をしている。


最近、たしかにその子はおかぴーとあからさまに距離を取っていたのはそういうことだったのか。


「……そっか…」


なんて言葉をかけていいかわからない。私もはっきりと振られたのであれば、そう言ってもいいかもしれないが、最初からトモダチと言われているので、なんとも言えない。


そして私がここで慰めるのも、きっとその子の癪に触ってしまいそうだった。



__



「おかぴー?振ったの?」


だから,私は直接本人に聞いてみた。彼は『あー、またその話題』というように、あからさまに不機嫌になった。

ムッと唇を尖らせて、ため息を吐いた。


「はー。振ったっていうか。べつに…」

「別にそこに対しては何も言わないよ。おかぴーの自由だから」


ただ、確認したかっただけなのかもしれない。なんで振ったのかとか、どういう流れで告白されたのか、他に好きな人がいるのかとか。気にはなる。だけど踏み込めないのはトモダチだから。そして、これ以上聞いてはいけない気がした。


「ただ、仕事はちゃんとしてね」

「分かってるよ」


私も、おかぴーもあのトモダチという言葉以来、軽薄になった気はする。いや、軽薄になってる。だけど、お互いがお互いに見ないフリをしている。そんな気がする。





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